このレビューを読んでいる皆さんはアラバマ州出身の若きラッパー / シンガーであるYung Bleuの名は御存じだろうか?いや、US本国のシーンでもキャリアをスタートさせたばかりのアーティストなので、よほど耳の早い好事家でなければ彼の存在を知らなくても無理はない。だが、昨年にDrakeをフィーチャーした “Your Mines Still” が、ビルボードHOT 100にて最高18位にランクするとジワジワとシーン内外での知名度を獲得。その勢いたるや、まだアルバムの1枚も発表していないのにも関わらずInstagramでのフォロワーが100万人を突破した程であり、そんな売り出し中のYung Bleuが満を持してリリースしたデビューアルバムが今作『Moon Boy』という訳だ。そして、これが今時のラッパーの作品らしく非常にスム〜〜〜スな仕上がりとなっているのだが、この彼のフロウの滑らかさに一役買っているのが昨年に共演を果たしたDrakeの存在である気がしてならない。
なんでもニューヨークタイム誌によると、歌を歌うラッパーの先駆けはDrakeらしいのだが(当然ながらこの説には賛否両論の意見がある)、Yung Bleuの世代的な事を考慮してもDrakeのスタイルから強い影響を受けてもおかしくは無いだろう。例えば今作からの収録曲でみればJohn Legendをフィーチャーした”Die Under The Monn” やH.E.R.をゲストに迎えた “Tired Of You” などのシンガーと共演した楽曲では、彼の歌うラッパースタイルっぷりが存分に堪能出来る。それでも単なるDrakeフォロワーに陥っていないのは、元々のYung Bleuのライミングスキルの高さたる故か?(アルバムを聴いてもらえれば分かると思うが、オーソドックスなラップも普通に巧い)この独特の器用さがアルバムのジャンルレス化を促進させたと思われるのだが、その象徴的な事案としてDrakeとの “Your Mines Still” のUS版WikipediaではYung Bleuの職業がラッパーと表記されているのにジャンルはR&Bと表記されていたりもする(笑)
まぁ今のは余談だったが、なかなか面白いアーティストがシーンにエントリーしてきた事には間違いない。
DJ YU-1