The Isley Brothers / Make Me Say It Again, Girl

Release Date / 30 Sep. 2022

R&B / ソウル界の帝王こと The Isley Brothers。その活躍ぶりは半世紀に渡る程の息の長さで、2000年代に入ってからもコンスタントにスタジオアルバムをドロップする貪欲な姿勢には本当に頭が下がる。だが、グループとしてのピークは1960年代〜80年代だったと言わざるを得ない側面もあり、新譜のブラックミュージックを追っている若いリスナーからの知名度には疑問符が付くのではないか?って、いやいやいや!馬鹿言っちゃいけません(笑)リアルタイムで The Isley Brothers の楽曲を聴いた事がない若者でも、このレジェンド達が残した美しい旋律は耳にした事があるに間違いないのである。そう、R&B / HIP HOP を生業とする後発のクリエイター達から熱烈なリスペクトを受ける The Isley Brothers の楽曲は、何時だってサンプリング・ソースとして蘇ってきたじゃないか。例えば90年代ならビギーがシーンに残したスーパークラシック “Big Poppa” や Naughty by Nature の “Hip Hop Hooray” 。2000年代以降も J.Dilla の “Wan’t Do” に “So Far to Go” , Kendrick Lamar の “I” 等、本当に枚挙に暇がないくらいオマージュされ尽くしてきた。

そんなレジェンドグループ = The Isley Brothers が、1975年に発表した自身の楽曲 “Make Me Say It Again, Girl” をセルフカバーしたのが、2022年8月の事。しかも、そのカバー曲のゲストが Beyonce で更に同タイトルのニューアルバムを発表とくれば、もう大騒ぎである。筆者としては今作のクレジットを見ただけでワクワクしてしまったのだが、かつては Isley のネタをサンプルに使ってライムしてきたであろうMC達と本家レジェンドが放つ美メロとの融合はクラシック連発の予感が漂う。中でも昨年にサプライズリリースされた Snoop Dogg との “Friends & Family” や Rick Ross をゲストに迎えた”Biggest Bosses” , サウス勢のラッパーとの共演が意外にも好感触だった “Keys to My Mind” などは現場主義のDJにも重宝する曲になる筈だ。(いや、どの曲も本当に美しい旋律なんです)思い返せば、アルバムのタイトル曲に参加した Beyonce もデスチャ時代に “Second Nature” で Isley ネタを使用していたが、こうやって次の世代にソウルが受け継がれて行くと思うと感慨深いものがあるんだよなぁ。だからこそ今作は、全ての世代のミュージックラバーに必聴して欲しいくらいの作品だと言う事を付け加えておく。

DJ YU-1

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