BabyFace / Girls Night Out

Release Date / 21 Oct. 2022

稀代のメロディ・メイカーとして R&Bシーンに名を残すレジェンド = BabyFace だが、自身名義のアルバムは2015年に発表した『Return of the Tender Lover』以来、7年もの間に渡り音沙汰が無かった。彼のファンならずともリリースまでのスパンとしては長い空白期間となってしまったが、この7年のブランクの影響で BabyFace の才能が枯れた訳でも制作意欲が衰えた訳でも無いことは今作を聴けば良く分かるだろう。そう、彼にとっても久しぶりのビッグディールとなった米・キャピタルレコーズとの契約により日の目を見た Newシット『Girls Night Out』は、ベテランシンガーの矜持に満ち溢れる渾身のアルバムだと感じた。

まず、BabyFace 自らが共演を熱望したと言われる Ella Mai をゲストに迎えた先行シングル “Keeps On Fallin’ ” で世間をザワつかせた事が記憶に新しい。2人の美声の共演が素晴らしいのは勿論の事、かつてBabyFace が大ヒットさせた “Can We Talk” のメロディをセルフ・オマージュしてしまうのだから、聴き手がザワつくのも当然か?こんな荒技はキャリアの長いベテランならではの芸当で、そこら辺の若手には真似の出来ないギミックなのだからタチが悪い。他にも Ali Lennox との “Liquor” , 今が旬のKehlani をフィーチャーした “Seamless” , Queen Naija をゲストに迎えた “Game Over” , Amaarae との”One Good Thing” など、ほぼ全ての収録曲で様々なタイプのゲストを起用した今作だが、不協和音は一切ナシ。その全ての楽曲で美しい旋律を楽しむ事が出来るのはBabyFace の歌声とメロディセンスが健在である何よりの証拠だろう。いや、それに加えて今作の共同プロデューサーに名を連ねる D’Mile の手腕による影響も無視する事は出来ないか。

と、理屈はこの辺にしておくとして、あとは今作『Girls Night Out』を無心で楽しんで貰いたい。何も考えず美しいメロディに溺れる事が非常に贅沢な時間であることを、とことん教えてくれるだろう。そして、BabyFace との契約を後押ししたとされるキャピタルレコーズの最高責任者、Michelle Jubelirer にも大きな拍手を送りたい。(本当に素晴らしいアルバムのきっかけを有難う!)

DJ YU-1

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