Release Date / 14 May 2021
2021年のシーンも相変わらずヒップホップ勢のセールスが好調だが、ここに来て上半期最大のシットが投下された模様だ。というのも、この度J.COLEが約3年ぶりにリリースしたスタジオ・アルバム『Off-Season』の持つ熱量がとんでも無いことになっているのだが、セールスの初動からして途方もない数字を叩き出してきたのだ。そう、今作に収録された楽曲達だけで米・Apple Musicにおけるソングチャートのトップ10を独占したかと思えば、同サイトのアルバムチャートでは世界72ヵ国にて1位を獲得！いや、いくら何でも売れ過ぎな気もするのだが、聴けば納得のクオリティの高さには流石の一言である。
まず、この隙の無いアルバムの中でも特に必聴なのが、”9 5 . S o u t h”で間違いないだろう。同曲は、あのJay-Zの傑作『Blue Print』に収録されたクラシック”You Don’t Know”と同ネタのBobby Byrd “I’m Not To Blame”をサンプリングしているだけでなく、シークレットゲストにはCam’ronを迎えるなど、1曲だけで〈2000年代ヒップホップ欲張りセット〉とでも言うべきキラーチューンとなっている。もう個人的には”9 5 . S o u t h”の1曲だけでも満腹なくらいなのだが、久しぶりに21 Savageとの共演を果たした “m y . l i f e”や、J.COLE自らトラックメイクした”a p p l y i n g . p r e s s u r e”、”c l o s e”等、気の抜けない曲がアルバム全編に渡って散りばめられているではないか。これだけでも今作『Off-Season』のセールスの好調さが充分に伝わってくるだが、J.COLEの振り撒く話題はこれだけではない。実は次回作となるスタジオ・アルバム『The Fall Off』でラッパーとしての引退を仄めかした事と、何とバスケ好きが高じてNBA転向まで示唆した事だ。って、えぇ！？今からバスケ選手を目指すって流石にアスリートを舐め過ぎなのでは、、、と思っていたら、デトロイト・ピストンズからトライアウトのオファーを受けた上に、アフリカン・リーグ(BAL)とは選手として正式な契約を交わすなど、冗談とは思えない動向の数々には空いた口が塞がらない。どうやら、奴のバスケ熱は本物の様だ。(とはいえ、こんなに素晴らしいアルバムを作る才能があるのにラッパーからの引退は勿体ないのでは、、、)

DJ YU-1