BTS / Proof

Release Date / 10 June 2022
そうだよねぇ。

今更BTSの海外シーンでの成功について語ったところで、何も目新しいエピソードは出てこないだろう。だがしかし、彼らのブレイク前後の時期には防弾少年団(BTS)の存在が非常に奇異に見えた事を良く覚えている。いや、BTSも容姿の面ではK-POPのボーイズグループらしくアイドル然としていたし、そのハイトーンボイスから繰り出されるボーカルもK-POPのボーイズグループ特有のモノに感じられたものだ。では、これまでのアイドルグループとBTSとの決定的な違いは何なのか?それは彼らが標榜するサウンドが “K-POP” ではなく、はっきりと “HIP HOP” と言い切った事にあるのではないか?確かにこれまでも “HIP HOP” 風の楽曲を発表してきたアイドルグループは幾多も存在したが、BTSほど本格的に “HIP HOP” に舵を切ったグループは皆無だっと記憶している。そりゃもうね、、、現行のUSシーンの流行とタイムラグのないビートに合わせてライムをキックしまくる様は、正にラッパーのそれで、彼らが吐き出すフロウと見た目とのギャップが先述した通り筆者の目には奇異に見えたのだ。これは流石に時代を先取りしすぎた感があり、恐らく彼らのスタイルは10年前の日本のオリコンチャートでは素直に受け入れられなかったのではないかと思われる。

だが、米・Billboardチャートでは違ったのだ。ここから先の彼らの快進撃は説明不要だろう。もうアメリカのチャートをあそこまで荒らすアジア人のグループは出て来ないのでは?とすら感じるくらいだ。そして、そんな彼らの10年間の軌跡をまとめたアンソロジーアルバムが今作『Proof』と言う訳だ。その収録曲はメンバー各自が気に入ったものを直接ピックアップしていて、もちろん彼らの代表曲である”Dynamite” も収録されているのだが、やはり筆者としてはグループ初期の楽曲が気になった。特にBTSの記念すべきデビュー曲である “No More Dream” は今聴いても眉唾モノだ。いや、あのビジュアルのグループが、よくぞこのビートでデビューしようと思いましたね(笑)インストだけ聴くとアイドルどころか Fat Man Scoop あたりの曲にしか聴こえないくらいだ。だが、むしろ彼らが本気でbillboardを獲りにいく覚悟を見せていている曲でもあり、やはり筆者としては “No More Dream” が今作のハイライトだ。いやいやいや、デビュー曲も良いけど彼らのラップの巧さを堪能するなら “Intro:Persona” のライミングも捨てがたい・・・なんて考えていたらベストアルバムではなくて彼らの新曲が聴きたくなってくるものだが、ここで残念なニュースが。

そう、BTSの活動休止という非常にショッキングなニュースだ。各メディアの憶測では活動休止の原因に兵役が絡んでいると噂になっているが、実際にはBTSの活動を引き伸ばす為に韓国政府は特例措置で兵役を2年先送りにしてきたという事実もある。しかしながらメンバーが30歳を越え始める2022年が活動休止のタイムリミットになったという訳か?(本来の韓国の兵役義務は28歳まで)こればかりは、部外者がとやかく言える問題ではないが、かつてのBIG BANGや東方神起の兵役後の失速っぷりを見るとBTSの行末にも暗雲が立ち込めてきたと言わざるを得ないだろう。いや、彼らのライミングのスキルが兵役後も健在なら巻き返しも期待できるのかもしれないか?いずれにせよ活動休止はアジア圏の音楽シーンにとって非常に残念ニュースだ。

DJ YU-1

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