Release Date / 25 June 2021
2019年〜20年に掛けて大ヒットさせた 2ndアルバム『Hot Pink』、また映画『Birds of Prey』のサウンドトラックに収録された “Boss Bitch”もフロア・ヒットした事で、ラッパーとしてもシンガーとしての地位も確立した Doja Cat。いや、彼女の事は1人のアーティストとしてだけではなく、インフルエンサーとしても超一流の影響力を持つガールズ・アイコンと評した方がしっくり来るか？そんな Doja Catが先日にリリースしたばかりの 3rdアルバム『Planet Her』は宇宙旅行をテーマにした近未来的な作品だそうで・・・

うん。ひとまず、作品のコンセプトは置いておくとして、このアルバム自体が日本よりも一足早く〈アフターコロナ〉の道を進み始めた米国のエンターテイメントが産み出したネクスト・レヴェルの音楽に聴こえてならないのだ。これもひとえに Doja Catという強烈なキャラクターが為せる業なのだろうが、今作の制作の大半に関わった Dr. Luke、Yeti Beats、Y2Kの3人のプロデューサーの存在も決して無視する事はできない。この個性の異なる3人がアルバム内でバランス良く散らばる事により、ヒップホップ、R&B、ポップスの3種の良さを高次元でクロスオーバーさせる事に成功したと言えるのではないか？この珠玉のトラックリストの中でも眉唾物なのが、現時点でビルボードHOT 100にて上位をキープしている”Kiss Me More”だ。先述の Yeti Beatsが手掛けた同曲は SZAをゲストに迎えたガールズアンセム。アルバムのコンセプト通りに宇宙を舞台にしたMVの茶目っ気も去ることながら、楽曲自体がヒップホップとポップスのファンを共に射程圏内に入れるバランス感覚を持つキラーチューンとなっている。

そして、同じくヒット中のシングル”You Right”にはR&Bシーンから The Weekndをフィーチャーし、”Payday”では Young Thug、”I Don’t Do Drugs”では Ariana Grandeが参加したりと、今作には事前にリークされていた通り各ジャンルから豪華なゲストが参加しているが、あくまで主役は Doja Catだ。この、どんなゲストが相手でも喰われる事の無い存在感の強さは、スターダムを駆け上がっていた頃のLady Gagaや Cradi Bの姿と重なるものがある。

そんな中で今作『Planet Her』のセールスに目を向けてみると、最新のビルボード200では初登場2位、UKチャートでは初登場3位と初動としては手応えのある数字を叩きだしてきた。なるほどね〜。これから2021年の下半期に掛けて、どれだけ話題をさらえるか楽しみな1枚だ！

DJ YU-1