Release Date / 24 June 2022
2019年に発表した前作『Indigo』は大ヒット。いや、前作に限らず自身のキャリアでは11枚ものスタジオアルバムをbillboard 200のTOP 10にブチ込んできたスーパースターの Chris Brown。彼は間違いなくスターだし R&Bシーンの最重要人物の1人で間違いないのだが、その私生活の乱れっぷりには少し呆れたりもする。そう、かつては元恋人のリアーナへのDV疑惑で有罪判決を受けた事のある Chris Brown だが、そのヤンチャっぷりはリアーナの件だけではない。2019年には仏・パリで女性への暴行容疑で逮捕、また翌年にはダンサー兼振付け師の女性にも暴行を働き提訴される等、女グセの悪さは相変わらずの御様子。これが日本の芸能界ならば既に引退にまで追い込まれるほどのやらかしっぷりだが、そこはエンタメ大国の米国だ。Chris Brown は引退どころか、この後に及んで非常に完成度の高いスタジオアルバムをドロップしてきたではないか。(これに被害女性達は何を思う?)
そのタイトルは自身のニックネームを冠した『Breezy』。これが憎たらしいくらいカッコ良いから評価に困ったりして?あのMary J Brige が “ヒップホップ・ソウル” の女王ならば、今作のChris Brown は”トラップ・ソウル” の帝王と言ったところか。そんな旬のトラップ的なビートは今作では最多となるトラックを提供した RoccStar を筆頭に名だたるプロデューサー達が名を連ねる。またゲストで参加したアーティストも Lil Durk に Lil Wayne, Ella Mai に Jack Harlow 等々が参加し、正に豪華絢爛で煌びやかなアルバムとなっているのだ。だが、あくまでも今作の主役は Chris Brown 。いかに豪華なゲスト達に囲まれようとも作品を支配する存在感と表現力はスーパースターのそれで間違いなく、どれだけ私生活が乱れたとしても、シンガーとしては充実したキャリアを歩んで来たことを今作でも見事に表現して魅せたと言えるだろう。うーーん、これは憎たらしい!
いやいやいや、そんな今作は最新のbillboardチャートにて初登場4位。こんなにカッコいいアルバムなんだから、私生活がちゃんとしてたら1位を獲れたんじゃないの〜?なんて思ったりもしたが、これがエンタメ大国のアメリカじゃなければアルバム発表どころでは無かったか。そして、ありきたりな言い回しになってしまうが、作品自体には罪は無く今作『Breezy』はR&B のアルバムとして非常に聴きごたえのある1枚である事は保証する。
DJ YU-1