Release Date / 26 June 2020
今作は、音楽を聴く事(とりわけイージーリスニング)の意義とは何かと見せつける様なコラボレーションに圧倒されること間違いなしのアルバムと言っても過言ではないだろう。いきなり統括から入ってしまったが、そう言わずにはいられない・・・良い意味で肩の力の抜けた楽曲の数々は、ソングライティングの本質をこれでもかと聴かせてくれた。そのタイトルもズバリ「CeeLo Green is Thomas Callaway」だ。これはもう本当に何の捻りも無いタイトルなのだが、一応付け加えるとタイトルにあるThomas Callaway(トーマス・キャラウェイ)とは本稿の主役であるソングライターのシーロー・グリーンの本名である。この”天然ソウル・マシーン”の異名を持つシーロー・グリーンがここまでストレートなタイトルを付けるあたり、今作ではソングライターとしての彼の原点の様なものに触れられる様な予感がするではないか。そして聴いてみた結果だが、その予感は見事に的中!リラックスして聴く為にうってつけの歌声の数々は日常生活のBGMとして違和感なく耳に自然と馴染む。そう、そしてレビューの冒頭では”コラボレーション”という言葉を使ったが、今作「CeeLo Green is Thomas Callaway」にはシーロー以外にもう一人主役がいる。それが今作を全面プロデュースしたダン・オーバックだ。うん?ダン・オーバックってロックバンドのザ・ブラック・キーズの人だよね?天然ソウル・マシーンであるシーロー・グリーンと現代ロックの旗手であるダン・オーバックがコラボってまた水と油の様な気もするが、、、それもその筈で、実はダン・オーバックは当初は一曲だけ客演するつもりでシーローをナッシュビルにある自身のスタジオに誘ったそうだ。だが、一曲限りのつもりのセッションで何故か二人は意気投合。遂にこの水と油の二人は一曲どころかアルバム一枚を丸々と作り上げてしまったという訳だ(笑)また、この二人の言葉を借りると今回のレコーディングでは「ヒット曲を作ろうなんて話は一つもなかった」そうで。更に補足すると今回はシーロー・グリーンと言う芸名では無く、あくまでトーマス・キャラウェイと言う本名の自分でスタジオに入ったと。これを踏まえてもう一度今作を聴くと何とも贅沢な気持ちになるではないか。この御時世にヒット曲を作る欲も持たずに自由にRECして、しかもそれが世に出せるなんて、アーティストとしてはこれ以上の幸せは無いだろう。もう今作からは、どの曲が売れそうだとか野暮な事を言うつもりは毛頭無い。アルバム丸ごとBGMとして聴いて欲しい。先ほども結論を述べたが、今作にはイージーリスニングの本質が垣間見える様だ。特にソングライターを目指している人材には必聴のアルバムである事も付け加えておく。
DJ YU-1
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