From フィラデルフィアのソウル・ディーバであり、自身の作品としては2015年の1月に発表した『Reality Show』以来およそ6年ぶりとなる 4作目『Heaux Tales』を発表したJazmine Sullivan。前作は、第58回グラミー賞にて最優秀R&Bアルバム賞をはじめとする3部門でノミネートされるほどの高評価な作品だったが、果たして今作ではどうか?まずセールス的にはビルボード200にて自身最高位となる初登場4位を記録する等、上々な滑り出しをみせてくれたではないか。そして、この好調さを支えているのがJazmine Sullivan自身のソウルフルな歌声だ。もう下手な小細工は一切なし。極めてオーセンティックに仕上げられた楽曲にストレートに声を乗せる彼女の姿にR&Bの本来あるべき形を思い出させられた様な思いがした。例えば今作で言えばGlitchwerkのDZLがプロデュースした“Pick up Your Feelings”や“Put It Down”、昨年『Shea Butter Baby』でブレイクを果たしたシンガーのAri Lennoxをゲストに迎えた“On It”などの楽曲で顕著なのだが、無駄の無いタイトなトラックに乗るJazmine の力強いボーカルはR&Bの黄金比率とも言えるバランス感覚ではないか?また余談だが、今作からは“Pricetages”にフィーチャーされたAnderson.Paakも良い仕事をしていた点も付け加えておく。この様に真の王道とも呼べるR&Bを見事に展開した『Heaux Tales』だが、面白いのは昨年バカ売れしたThe Weekndの『After Hours』の様な実験的なサウンドも今回のJazmine Sullivanのオーセンティックなサウンドも“R&B”と言うジャンルで括れてしまうシーンの懐の深さだ。(聴き比べてみたら分かりやすいと思うが、本当に同じジャンルの作品とは思えないくらい違う 笑)
まぁどちらのサウンドが好みかは聴き手の好みによるのだが、今作『Heaux Tales』は、往年のLauryn HillやFaith Evansを聴いてきた層には問答無用でオススメしたい1枚だ。
DJ YU-1