BRS Kash / Kash Only

またもやサウス・ヒップホップの聖地 = アトランタからイキの良いMCがデビューした模様だ。それは誰かと言えば、コロナ禍に見舞われた2020年に発表したシングル“Throat Baby(Go Baby)”がバズるや否や2021年に入ると即座にデビュー作となる『Kash Only』でシーンにエントリーしてきたBRS Kashの事である。今作を聴いてもらえれば分かると思うが、筆者としては奴(BRS Kash)は相当なフロウ巧者だと見受けた。もちろん今作からの必聴な曲は、ブレイクのきっかけとなった“Throat Baby(Go Baby)”や、DaBabyCity Girlがゲスト参加した“Throat Baby”のリミックスバージョンである事には間違いない。だが、収録された全12曲が揃いも揃って曲者な仕上がりを見せており、全編に渡って気の抜けないアルバムとなっているのだ。そんな中でも個人的に気になったトラックは、叙情的な上ネタが怪しくループする“No Manners”、サウス産のラッパーの曲にしては珍しくクラシカルなサウンドが小気味良く響く“Kash App”、バウンスしたビートがいかにもサウスな雰囲気を醸し出す“Dance On The D××k”“Do It”あたりか?実は上記のいずれの曲もタイプの異なるトラックなのだが、そんな事は意に介さず多様なビートを乗りこなすBRS Kashのスキルは見事と言わざるを得ない。それどころか奴のフロウを聴いていくうちにどうやら今作がクセになってきたくらいだ()

とはいえ“Throat Baby(Go Baby)”でのバズりも全米規模で見ればまだまだプチブレイクと言った感が否めないのも事実。気の早い話だが、既に地元では〈Next Atlanta Original〉なんて呼ばれているそうだが、その異名に恥じない存在になれるかどうかはこれからのキャリア次第だろう。まずは名刺代わりとして申し分のない一撃を放った。

DJ YU-1

PAGE TOP