Toby Love / Bachata Nation

Release Date / June 24 2016
Bachata Nation
ニューヨーク育ちだが、自身のルーツはプエルトリコ。移民が多いニューヨークでは特段珍しく無い出自だ。そんな街で育ったからこそ音楽シーンにおける新たなムーブメントの第一人者になり得たのだろうか?文字通りの個性派シンガーであるトビー・ラヴが発表した約3年振りとなるニューアルバムのタイトルが「Bachata Nation」というのだが、バチャータをベースとするトビー・ラヴならではの直球のアルバムタイトルである。余談だが、彼のソロデビューアルバムの邦題も直球であり、その名も「恋のバチャータ」(笑)そもそもバチャータとはドミニカ共和国の大衆音楽のことである。日本にも独自の民謡や大衆音楽があるが、それらのドミニカ版と言えば伝わり易いだろう。そんなバチャータを土台とし、ソウルやR&B、ポップスのエッセンスを加え、アメリカでブレイクしたラテンバンドがアベントゥーラであり、同バンドのボーカリストとして世に出たのがトビー・ラヴである。このアベントゥーラの音楽は同時期に全米で一大ムーブメントを起こしていたレゲトンと並んでラテン音楽の地位を一気にメインストリームに押し上げた。今作「Bachata Nation」はそんなUSメイドの逆輸入バチャータ?の最新作という訳だ。
当然だが、今作もラテンノリ全開である。収録曲である‘‘El Aire Que Respiro’’や‘‘Vestida de Blanco’’のようにタイトルからして曲調が想像出来る曲が目立つが、まさに想像通りの曲で小細工なんかは一切無し。軽快なバチャータのリズムは夏のシーズンには特にハマりそうである。そんな中でも実力派のラッパーであるフレンチ・モンタナをフィーチャーした‘‘We Never Looking Back’’やスティービー・ワンダーのクラシックを大胆にカバーした‘‘I Just Called To Say I Love You’’等、バチャータの枠を飛び出したジャンルレスな楽曲も素晴らしい出来であり気が抜けない。アメリカ産まれのプエルトリカンにしか作れない無二の個性と言えるだろう。クソ暑いビーチで聴いたら今作の魅力は倍増と見た。
(DJ YU-1)

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