Release Date / 11 Oct. 2019
あのリック・ロス率いるMMG(Maybach Music Group)のエース級MC = ワーレイが自身通算6枚目となるスタジオ・アルバム「Wow… That’s Crazy」をリリースした。ワーレイと言えば、2013年の「The Gifted」や2015年の「The Album About Nothing」でのビルボード・アルバムチャート1位獲得、または映画『ワイルド・スピード』の主題歌”Ride Out”などヒット曲に恵まれたラッパーというイメージを持つヘッズも多い事だろう。そして筆者が個人的に思うのは、ワーレイがヒットに恵まれ続ける最大の要因は彼自身のリリシストっぷりにあると思う。特に近年流行りのマンブル・ラッパー達がリリックの発音をルーズにすればする程、ワーレイの様なタイプのMCのフロウはより際立って聴こえてくる。無論、今作「Wow… That’s Crazy」でもそうだ。特に今作はアルバム全体で1曲1曲を繋ぐストーリー仕立てになっており、ワーレイのリリシストとしての真骨頂を見た思いだ。そう・・・アルバム1曲目の”Sue Me”から始まる今作は、曲を追う毎に恋愛の始まりから終わりまでを描いた小説の様な作品となっているのだ。その作品を引き立てるソウルフルなネタ感満載のトラック・リストや、6Lack(ブラック)、ジェレマイ、リック・ロスやミーク・ミルといった豪華なゲスト達も今回ばかりは脇役に追いやられた感すらある。更には今回のアルバムのジャケットのアートワークは日本でも話題に事欠かないアーティストであるバンクシーの絵画”風船と少女”のオマージュときたもんだ。うーん、この「Wow… That’s Crazy」はどこまでも知的なアプローチで楽しませてくれるではないか!一つ注文を付けるとしたら今作はヒップホップの作品としてはスリリングさに欠けると言うか少し優等生すぎる気もするが、その辺は聴き手の好みの問題だろう。そして、そんな今作は最新のビルボード・アルバムチャートにて初登場7位と上乗な滑り出し。なんとなく日本人にも聴き易いヒップホップとなっていると思うので、普段からクラブに行かない様なリスナーにもオススメしときます。
(DJ YU-1)