JAY-Z / 4:44

Release Date / June 30 2017
4:44
レジェンドに片足を突っ込んでいる大ベテランにも関わらず全く落ち着きの無い男だ。正にやりたい放題の問題作のドロップに音楽シーンは見事に引っ掻き回されてしまった。まず、JAY-Z程のビッグアーティストの新作なのに事前の情報がメディアに流れていなかった。〈そろそろジガのニューシットが聴けるかも?〉なんて予想する間もなく突如として湧いて出たスタジオ・アルバム。それが「4:44」という訳だ。そして今作は例によってJAY-Zの一大プロジェクトであるTIDAL限定配信。リアーナの「ANTI」、カニエの「The Life Of Pablo」の成功により徐々に市民権を獲得したTIDALだが、ここへ来て遂に真打ち登場という格好だ。この「4:44」に対する世間の反応は凄まじく、TIDALでの配信数がチャートに反映されれば間違い無くブッチギリの初登場1位をさらっていただろう。何故なら今年で言えば絶好調に売れているケンドリック・ラマーの「DAWN.」がプラチナ認定されるのに要した期間は約1ヶ月。これに対しJAY-Zの「4:44」は僅か5日でプラチナに到達してしまったのだから!この数字にはちょっとしたカラクリがあるので賛否両論の声もあるだろうが、今作が現時点で音楽シーンの中心にいることは間違いなく、更には中身が抜群にカッコ良いんだから手が付けられない。サンプリング中心のソウルフルなトラック群は勿論素晴らしいし、これぞMCという言葉の魔術師っぷりには感動すら覚えた。過去の自身のスキャンダルを自らdisる‘‘Kill JAY-Z’’ではスリリングなリリックを聴かせ、アルバムタイトルにもなった‘‘4:44’’ではダウナーな女性ボーカルのサンプリング・ループに乗せて妻ビヨンセへの懺悔の言葉を、あのフージーズの‘‘Fu-Gee-La’’使いが印象的な‘‘Moonlight’’では若手ラッパー達のスキルの無さを痛烈に批判!・・・今更のことだけど、やっぱりこの男はラップが上手いね。唯一ケチを付けるならば、TIDALの音源が日本ではオフィシャル配信では無いことくらい。まぁ、確かに日本市場でAppleに対抗するのは厳しいものがあるけれども(笑)
(DJ-YU1)

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