Alicia Keys / Here

Release Date / Nov. 4 2016
ヒアー
これぞブラックミュージックのド真ん中。これまでにも全世界中でアルバム累計3000万枚以上のセールスを誇るアリシア・キーズが、およそ4年ぶりとなるニューアルバム「Here」を発表した。この素晴らしい作品についてあれこれ薀蓄を垂れるのは簡単だが、そんな野暮な事はしないで手放しで絶賛したいくらいストライクなアルバムだ。まず冒頭の〈TurnTable Histry・・・Old School, New School・・・〉という語り口から始まる今作のイントロダクション‘‘The Beginning’’からして往年のヒップホップヘッズのハートは撃ち抜かれるであろう。そう、今作をカテゴライズするならば間違いなくR&Bなのだが、彼女の作品からはヒップホップのバイブスも力強く伝わってくる。そのバイブスが「Here」の中でも特に顕著にあらわれているのは何と言っても‘‘She Don’t Really Care_1 Luv’’か?この曲はシンプルなビートの控え目な曲かと思わせといて後半からトラックが差し代わるのだが、差し替えたトラックはなんとNasのクラシック中のクラシック「Illmatic」収録の‘‘One Love’’ネタ使いときた。これには思わずニヤリとしてしまった。クラブシーンでは‘‘One Love’’とセットで使うDJ続出の予感である(笑)少々話が逸れてしまったが、今作は旬のプロデューサー、ジミー・ネイプス作のリードシングル‘‘In Common’’や、これまた旬のラッパーであるエイサップ・ロッキーをゲストに迎え、夫であるスウィズ・ビーツと前妻との子に捧げる赤裸々な内容が話題の一曲‘‘Blended Famiry’’など力作揃いで聴き手の身体も揺れっぱなしだ。アルバムの所々に散りばめられたインタールードも効果的に効いていて、アルバム一枚で一つの物語を見ているような気分にさせる演出も憎い。そんな「Here」は初動で約5万枚を売上げアルバムチャートでは初登場2位につけた。ファンにとっては少し早いクリスマスプレゼントとなった今作は年末のヒットチャートを更に暖めてくれそうだ。
(DJ YU-1)

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