Release Date / 12 July 2019
今回は知る人ぞ知るB級映画？『I Got The Hook Up 2』のサウンドトラックを紹介したいと思う。たった今、今作を”知る人ぞ知る”と評したのだが、その訳はこの『I Got The Hook Up 2』が、1998年公開の映画『I Got The Hook Up』からなんと21年振りとなる続編だからに他ならない。もはや前作の内容を覚えているオーディエンスがいるかも定かでは無いし、現段階で両作のストーリーが繋がっているかの情報も入ってきてはいないが、この2本の『I Got The Hook Up』シリーズの共通点は主演がサウス・ヒップホップシーンの帝王 = マスター・Pである事と、映画のサウンドトラックが気合いの入った力作だということだ。そう、前作に遡る事1998年頃のマスター・Pと言えば自身のレーベルであるNo Limitが絶好調、曲中の煽りでお馴染みのフレーズ〈Uhhh〜〉が全米で大流行し、挙句の果てには当時から大スターだったスヌープ・ドッグを暴君シュグ・ナイト率いるデス・ロウから引き抜く等やりたい放題だった時代だ。そんな絶頂期に自らが主演する映画のサントラを作るとなったら、そりゃ気合いも入った事だろう。前作ではスヌープにアイス・キューブ、ボンサグにミスティカル、JAY-Z、メンフィス・ブリークと、とにかく売れっ子を集めた派手な作品になっていたが、果たして今作はどうか？あれから21年経ち、マスター・P自身の活動は落ち着いたものになっているが、世は空前のサウスブームだ。元祖サウスブームの火付け役のマスター・Pなだけに今作にも期待が高まるところだが、やはり時代の流れもあってか今作でもトラップ系のトラックがやや目立つ。そろそろ個人的にはトラップはお腹いっぱいなのだが、まだまだこの勢いは止まらないだろう。だが、そこは流石のベテランであるマスター・Pだ。トラップ以前からサウス・シーンを牽引してきただけあってトラップの枠を超えた曲でも多数楽しませてくれた。今作でマスター・P自身が参加した曲で言えばMr.メイスとヤング・ボーイをフィーチャーした‘‘From The Bottom’’、キング・ロイ・ゴッティとの‘‘Bricks’’、サントラの締めを飾る‘‘Holla At Me’’などは既存のトラップよりネタ感が強めのサウンドが◎。逆に西海岸から参戦したE-40の‘‘Act Out’’がゴリゴリのトラップ仕上げになっていたりと、ある意味で非常に面白いサントラになっていると言えるのでは？確かに前作に比べたらゲストが小粒になってる気もするが、マスター・Pも今さら今作でシーンの覇権を取るつもりもあるまい。それより、まだまだ元気そうにラップしていて安心しましたよ(笑)
(DJ YU-1)