Release Date / Nov. 13th 2015
一言で言えば‘‘ザ・ブラックミュージック’’とでも呼びたくなる作品。タイ・ダラー・サインのデビューアルバム「Free TC」は2016年以降のR&B / HIP HOPシーンの動向に少なからず影響を与えるであろうアルバムになるかも知れない。LAを拠点とし、シンガー/ラッパー兼プロデューサーとして活動するタイ・ダラー・サインは今作「Free TC」こそデビュー作となっているが、文字通りデビューしたてのヒヨッ子というわけでは無い。実は彼は2011年にはウィズ・カリファ&スヌープ・ドッグ feat. ブルーノ・マーズの‘‘Young , Wild & Free’’、2013年にはクリス・ブラウンの‘‘Loyal’’といったヒット曲のソングライターとして知られ、様々なアーティストからラブコールを受ける売れっ子ソングライターなのだ。アーティストの裏方仕事で名前を売り、満を持して自身名義のアルバムをリリースといった流れはカニエ・ウェストのデビュー当時を彷彿とさせるが、カニエ並の成功を収める事が出来るのか注目のアルバムである。
今作「Free TC」には、R・ケリー、ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェスト、ウィズ・カリファ、フェティ・ワップ等、いちアーティストのデビュー作には豪華過ぎる程のゲストアーティストが参加している。この時点でタイ・ダラー・サインが只者では無い事が伺えるが、また内容が素晴らしい。ブラックミュージックの原点回帰と言わんばかりに直球に黒い音で勝負しているのが好印象だ。2000年代前半にサンプリング主体のビートからシンセサイザー主体の音への転換期を迎えていたHIP HOPシーンの中で再びサンプリングに注目を集めさせたカニエ・ウェストのデビュー時にここでも被る印象を受けた。果たしてタイ・ダラー・サインは当時のカニエの様にEDMな音が主流のブラックミュージックシーンに一石を投じる事が出来るのか?結果次第では来年以降のR&B / HIP HOPは更に面白くなりそうなのだが・・・
(DJ YU-1)
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