Release Date / 11 June 2021
US本国のR&Bシーンでは、ポストChris Brownの呼び声も高い次世代のシンガーであるTone Stithは、1995年生まれの26歳。2016年には、デビュー前にも関わらずJeremihの全米ツアーのLive Actに抜擢されると、翌年の2017年にはデビューアルバムとなる『Can We Talk』をリリース。このデビュー作のクオリティの高さ故に名門〈RCA Records〉が即座にTone Stithとの契約に動いた事は記憶に新しい。そして、この若き才能に溢れた彼の転機とも取れる出世作は2019年に発表されたH.E.Rのシングル”Could’ve been(remix)”で間違いないだろう。まだ当時は若手扱いだったTone自身よりも先にスターダムを駆け上がったH.E.Rのシングルにフィーチャーされたという事で、シーンに対してどれだけTone Stithの名前を売る事に成功出来たかは想像に難くない。
という訳で今度は、そのH.E.Rがお返しとばかりに”When You Love Someone”の1曲にゲストとして参加したTone Stithの最新作『FWM』が、なかなか聴き応えのあるアルバムに仕上がっているではないか。この今作の要であるサウンド面でのプロダクションがシンプルな方向で落ち着いているのは、彼の極めて甘い歌声を最大限に活かす為のものだろう。このプロダクションの大半は、Lil TjayやPolo G, H.E.Rらの実力派に楽曲を提供してきたプロデューサー = Bordeauxが手掛けたトラックだ。ただ、サウンド面はシンプルな造りになりながらもアルバムタイトル曲の”FWM”でのリリックのヤンチャぶりからも分かる通り、Tone Stithという男は単なる優等生のシンガーと言う訳でも無さそうでして、、、(個人的にはサグ系のラッパーの作品等にゲストで参加しても輝くタイプと見た)
と言う事は、あながちポストChris Brownという評価も決してハッタリでは無いという事だろう。うん。今作『FWM』でTone Stithが何処まで飛躍するかは未知数だが、どうやら今後の活動が楽しみなシンガーがまた一人現れた事に間違いは無い様だ。
DJ YU-1