Shy Glizzy / Flowers

Release Date / 10 Feb. 2023
これはトラップなのかドリルなのか?
いや、Shy Glizzy が提唱する2023年のオリジナルのHIP HOP として今作『Flowers』を受け入れるかどうかは聴き手の感性に委ねられるのだが、良くも悪くも聴きやすい作品なだけにヘッズ達からの評価が分かれそうな予感がする。とは言え筆者的には今作の感触は〈当たり〉だ。そもそも最近のHIP HOP を推し量る要素としてトラップとドリルの違いが曖昧過ぎると考えていた人間からするとアルバム自体が格好良ければ問題無いと思う訳だ。そんな中でも特筆すべきは2022年末、アルバムに先行してカットされたシングル “Slime-U-Out” の秀逸さに尽きるだろう。21 Savage をゲストに迎えた同曲は最近のトラップ系の曲にしてはネタ感もビートの硬さも強め。これは恐らくプロデューサーの Hitmaka の仕事で間違いなさそうなのだが、もう本当にド〜〜プな仕上がりじゃないですか!これには筆者も1人のヘッズとして、久しぶりに芯を喰らった感触を噛み締めた次第だ。

そして、2023年に入ると “Slime-U-Out” も収録された今作『Flowers』が発表される。これが先述した通り非常に聴きやすいアルバムになっていたりして。例えば Chris Brown をフィーチャーした “No Days Off” , そのタイトルからして Shy Glizzy の思い入れの強さを感じる “The Real Is Back” , ギターリフのループが心地よく響く “Old Friends, New Opps” , タイトにアルバムを締め括った “Pain Last Foever” 等、どの収録曲も平均点を軽く超えてきている辺りは流石だ。まぁ、正直に言うと2014年にスマッシュヒットした “Awwsome” 以降〈期待の若手〉の枠から脱却できていないと言うか、少し燻っていた印象の Shy Glizzy ではあったが、今作『Flowers』で一線級のラッパーに躍り出るかも知れない。
うん。それくらい評価しても良いアルバムだと思うし、是非とも彼には売れて欲しいね。そして最後にもう一度だけ繰り返すが、先行シングルの “Slime-U-Out” はド〜〜プな仕上がりなので必聴とか言っとく。

DJ YU-1

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