Sam Smith / Gloria

Release Date / 27th Jan. 2023
ジェンダーレス化が著しい現代社会において、Sam Smith の様にゲイを公言するアーティストは珍しくない世の中となった。だが日本の音楽業界を振り返ってみると、まだまだジェンダーレスの壁は高くて厚い物に感じる。そんな中で発表された Sam Smith の4thアルバム『Gloria』は、多様性を帯びたサウンドは元より先鋭的な歌詞が非常にショッキングに感じられたものだ。いや、彼のリリックに衝撃を受けた筆者の感受性が極めて日本人らしい視点(保守的)だった可能性も否めないのは確かだが。

そう、Apple Music から受けたインタビューで今作『Gloria』について解説する Sam Smith の言葉達は非常に官能的な表現に満ちていた。例えば本人の口からはっきりとセックスについて言及された収録曲”Perfect” だったり、夜遊び前の性行為を〈ゼロ次会〉と称する “Six Shots”、フックのギミギミ連呼は「オトコがほしくて堪らない!」と言う意味だと聞かされて言葉を失ってしまった “Gimme” など、本当に赤裸々なリリックの数々に圧倒された訳だが、何も今作はジェンダーの性生活だけに焦点を当てたアルバムではない。これまでに何曲もの作品をUKチャート、または billboard の上位に送り込んできたSam Smith が作り上げる美しいメロディラインと、素晴らしいコラボレーションがもたらす科学反応はリスナー達に幸福の時間を与えてくれるだろう。

そうなのだ。ゴスペル調の “Love Me More” で壮大な幕を開ける今作『Gloria』は、商業音楽作品として完璧に近い1枚なのではないか?先述した “Gimme” だってダンスホール感の演出の為にわざわざジャマイカで制作された程の代物であったり、いかにも Calvin Harris の制作らしいダンサブルなトラックが秀逸な “I’m Not Here To Make Friends” , Ed Sheeran が彼の為に書き下ろしたバラードが切なく響き渡る “Who We Love” 。更には昨年9月に Kim Petras をゲストに迎えてヒットしたシングル “Unholy” など、今作のどこを切り取ってみてもハイライトと呼んで申し分ないアルバムは、美しさと狂気が共存する芸術大作の様だ。それに彼の性的な表現だって男女の関係に置き換えて聴けば真っ当なラブソングに聴こえてくるのでは?(ちなみに歌詞の受け取り方は自己責任でお願いします。いや本当に清々しいくらいに生々しいので、その辺は悪しからず)

DJ YU-1

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