Release Date / 29 March 2019
近年、ヒップホップ・シーンにて躍進著しいのが所謂、女性ラッパー = フィメールMC達だ。その中でもリル・キムやミッシー・エリオットといったベテラン勢も俄然元気なのだが、なんといっても現時点でのフィメールMCのツートップはニッキー・ミナージュとカーディ・Bの2人で間違い無いだろう。彼女達の共通点はラップのスキルも勿論素晴らしいのだが、それ以上にファッションアイコンとしての存在感も目立っているところか?日本でも‘‘インスタ映え’’なんて言葉が浸透して数年経つが、ニッキー・ミナージュにカーディ・Bも自分達のファッションや私生活をSNSで巧みに見せる事により自身の楽曲のプロモーションにも繋げているように見える。また、余談だがニッキーとカーディは非常に仲が悪く、SNS上で互いに激しくディスりあっている辺りも各々のプロモーションに繋がってしまっているのが非常に皮肉だ(笑)
少々話がそれてしまったが、ここで次代のSNS世代を代表するフィメールMCがシーンにエントリーしてきたので紹介したい。それはインスタグラムにアップしたラップ動画が話題を呼ぶと、昨年にはシングル‘‘Icy GRL’’がYoutubeにて年間6千万再生を記録するなどプチブレイクを果たしたサウィーティだ。先述の‘‘Icy GRL’’はカイアの‘‘My Neck,My Back’’のネタ使いのトラックに加えて彼女の意外にも王道を行くフロウが注目を浴びたのだが、この‘‘Icy GRL’’で示した方向性を踏襲しつつも7曲入りEPの「Icy」を新たにドロップしたサウィーティ。今作は、まだ見ぬ期待のスタジオ・アルバムの布石としては充分なクオリティなのではないか?まず世間からの注目度の高さを感じるのは、兼ねてからサウィーティとの熱愛が噂されているミーゴズのラッパー = クエヴォがこのEPで2曲にゲスト参加している事だ。これにはゴシップが大好きなSNS世代のリスナーも喰いつきそうだが、今作の本質はそこでは無いと思う。実は、このサウィーティ。ラップ巧くないですか?先程は彼女のラップを王道を行くフロウと評したが、本当に原点に立ち返る様なラップのスキルが新鮮に感じる。特に今作で言えば、00年代初頭のNYサウンドを模した‘‘My Type’’、また同年代のLAサウンド風味の‘‘Emotional’’の様なクラシカルなトラックにピッタリと合うラップは今聴くと尚更フレッシュなくらいである。もしかしてマンブルラッパーと揶揄される彼氏のクエヴォよりラップが巧かったりして?冗談はさて置き、この先にフルアルバムが発表される事があったらサウィーティの名前は一気に跳ねる予感がする。
(DJ YU-1)
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