Robert Glasper Experiment / Black Radio

Release Date / Feb. 28th 2012
ブラック・レディオ
ジャズの名門ブルーノート発、通産5作目となる作品。この時代に60年代ジャズの巨匠セロニアス・モンクが生きていたら同じようなことをやっていただろう。類は類を呼ぶといった言葉がぴったりだが、先進的な音楽性を追求するアーティスト達がこれほどナイスなタイミングで集まり「これぞ現代のアメリカ産のジャズ」と自信をもってお勧めできる作品に仕立てている。主要メンバーはピアニストのロバート他3人からなる4人組。本人のプロフィールを少々紹介するとロバート・グラスパーは幼少期より音楽一家に育っており、特に母親の影響で10歳のころに教会で始めたピアノに始まり、大学へは奨学金を受けながらニューヨークの大学へ通い音楽を専攻した。そこで出会ったBilal(ビラル)とヒップホップの魅力について音楽性を共有し、後にCommonやMos Defといったアーティスト達と共演を果たすことになる。そしてこれまでにヒップホップ畑ではQ-Tip、Kanye West、Jay-Z、Jay Dee、Talib Kweliなどの作品でピアニストとしてクレジットを確認することができ、更には2009年にMaxwellの世界ツアーに同行を果たす。本作についてはつかみどころのないジャンルから選んだカヴァー曲をきっちりとグラスパー調にまとめ上げているが、Sade(シャデー) “Cherish the Day”、Nirvana(ニルバーナ) ” Smells Like Teen Spirit “、David Bowie(デビッド・ボーイ) ” Letter To Hermione “、そして極めつけはJohn Coltrane(ジョン・コルトレーン)のジャズ・スタンダードとして知られる” Afro Blue “がその良い例だろう。シャデーの曲はLalah Hathawayが深みのある歌いっぷりを披露、アフロ・ブルーに至ってはErykah Baduが彼女のオリジナル性を活かしたパフォーマンスを繰り広げる。デビッド・ボーイのカヴァーではビラルがあれほど、ジャズ向きの声だったことを新発見させられ、Mint Conditionのオリジナル曲”Why Do We Try”ではロバートのピアノの上で自由に飛び回るようなストークリーのヴォーカルがキラキラと輝きを見せる。ロバート同様、先進的なジャズ・プレイヤーの一人であるMeshell Ndegeocelloと作り上げる世界はダーク!紹介しきれないが他にもLadisi、MosDef、Lupe Fiascoなど果てしなく黒いメンツが生み出すサウンドは底なしにアーティスティックで面白い。

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