Ro James / MANTIC

Release Date / 29 May 2020
ドイツ産まれでニューヨーク育ちのシンガー = Ro James(ロー・ジェイムス)。元プリンスの影響を強く受けたという彼が2016年に発表したデビューアルバム「Eldorado」は、米ビルボード200では71位止まりだったものの、翌年の第59回グラミー賞にて〈ベストR&Bパフォーマンス〉にノミネートされる等、シーンからは一定の評価を得る事に成功したと記憶している。また、それだけでは無くスヌープ・ドッグやアッシャー・ロスといったラッパーの作品にもフィーチャーされていたので個人的には気になる歌い手の一人だったのだが、そんなロー・ジェイムスが2020年の5月29日に約4年振りとなるスタジオアルバム「MANTIC」をドロップしたので本稿で是非紹介したいと思う。先程は彼の事を元プリンスの影響を強く受けたと評したが今作でもその片鱗は健在。いや、オルタナティブR&Bとも捉えられる世界観は前作より更に磨きがかかっているのではないか?のっけから彼のハイトーンボイスが堪能できる”Powder RooM(IntRO)”から幕を開ける今作は”Last Time”、”Be Mine”、”Excuse Me”といったビートが効いたミッドテンポのトラックにローの歌声が心地よく絡むのが特徴的である。そして誤解を恐れずに言わせてもらうと、今作の空気感はこれまでの〈R&B = ソウルフルなヴァイブス〉から少し逸脱した様な印象も受けた。この感覚は2020年の話で言えばウィークエンドのアルバム「After Hours」を聴いた時点でも感じたのだが、少しずつR&Bのサウンドにも流行の変化が現れているとさえ思った次第である。もう少し分かり易く言うとメアリー・J・ブライジに代表される所謂王道のヒップホップ・ソウル的なR&Bサウンドだったり、またはマーク・ロンソンが「Uptown Funk」で示した様な原点回帰なファンキーさから一皮剥けた感じのサウンドというか・・・例えばヒップホップで言えばブーンバップなサウンドと対を成してトラップが大流行した事が記憶に新しいのだが、ロー・ジェイムスのR&Bにも似たような新しい潮目を感じるのだ。勿論これはポジティブな感想で、今作「MANTIC」は前作「Eldorado」よりも商業的にも成功するのではと読んでいる。そう言えばウィークエンドも相変わらず売れ続けてるみたいだしねぇ。とりあえずロー・ジェイムスも今後の動向が気になるシンガーの一人である事に間違いはない。
DJ YU-1

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