OneRepublic / Human

Release Date/ 27 Aug. 2021
稀代のメロディメイカーであるライアン・テダー率いるポップス/ロックバンド = One Republic。2016年に発表した前作『Oh My My』は、ビルボード200 にて最高3位、またUKチャートでは最高6位を記録する等、ワールドワイドにヒットさせた彼等だが、今作のリリースまでには5年もの歳月がかかってしまった。これにはバンドのキーマンであるライアン・テダーのメンタルヘルスと言うハッキリとした理由があるのだが、これまでの彼の多忙ぶりを鑑みると精神を病むのも仕方のない話だったのかも知れない。その彼自身の今までのキャリアを振り返ってみると、OneRepublicとしての活動は勿論の事、バンド活動の合間にもBeyonce “Halo” , Maroon 5 “Love Somebody” , Demi Lovato “The Neon Light” , Adele “Remedy” , Steive Wonder “Faith” をプロデュースしたりと、ほんの一部を抜粋しただけでこの仕事量である。これだけのオファーを受ける程の実績と実力があると言ってしまえばそれまでだが、この多忙ぶりは確実にライアンの精神を蝕んでいて、2017年には彼のマネージャーを通して全ての仕事をキャンセルさせるまでに至ってしまったのだ。
だが、この決断が結果的に今作『Human』のクオリティに大きな影響を与えている事を考えると、勇気を持って休む事は英断だったと言えるだろう。なにより自身の家族との時間を取りながら、マイペースに書き溜めた新曲達は、ライアン・テダーならではのメロディラインの宝庫だ。そう、前作の発表からの5年の間に書き溜めた新曲達・・・例えば先行リリースされた “Somebody To Love” , “Didn’t I” , “Better Days” , は勿論の事、アルバム冒頭に収録された “Run” 等もライアンのリードヴォーカルの旨味を最大限に引き出していて、再びOneRepublicというバンドに輝きをもたらすかの様に響き渡ってくる。確かにシーン的には、5年というブランクがどう転ぶのか未知数ではあるのだが、英気を養ったOneRepublicが会心の一撃を放った事に間違いは無い。
DJ YU-1

PAGE TOP