Release Date / 10 Feb. 2023
まさか『The Rebirth of Marvin』とはまた随分と攻めたタイトルのアルバムが発表されたものだ。そして、この壮大なタイトルが決してハッタリなんかでは無い事は今作を聴けばすぐに分かるだろう。何を隠そう本稿で取り上げるのは、あの Snoop Dogg プレゼンツのメロウ作品だ。そんな Snoop が支配する西海岸の名門〈Death Row Records〉の秘蔵っ子シンガー = October London の事は、てっきり第二の Nate Dogg になるかと思っていたのだが、ここにきて現代の Marvin Gaye を名乗り出るとはね〜。これがまた本当にソウルフル!いや、まずは収録曲のほぼ全てを一人で書き下ろした October London の才能に惜しみない拍手を送りたい。
そう、Snoop Dogg のイナタイ声のスキットから幕を開ける今作『The Rebirth of Marvin』は往年のMotown ファンならずとも感涙モノの美メロの宝庫になっている。例えば、美しくも力強い歌声に彩られた “Back to your Place” , まるでスロウジャムの御手本といった具合の “Rollorcoaster” , 小気味良いリズムに思わず身体が揺れてしまう “Make Me Wanna” , またまた Snoop のスキットから始まる極上のバラード “You Give Me Love” など、どの楽曲を切り取ってみても〈リズム&ブルース〉の真髄と言わんばかりだ。更には全11曲収録でたったの31分というコンパクトさも今作のスムースぶりに拍車をかけたと見て間違いないだろう。まぁ、これまでのOctober London と言えば Snoop Dogg にフックアップされた “Touch Away” , “Get This Dick” の様な所謂 G-Funk 的なウェッサイサウンドのイメージも強かったのだが、今作『The Rebirth of Marvin』で魅せたメロウっぷりこそが真骨頂だと言う事が良く分かった。思い返せば2021年末に執筆した Silk Sonic のレビューで「この完成度のアルバムは毎年出る様な代物ではない」と発言した筆者だったが、あれから僅か14ヶ月でこんなアルバムが出てくるとは、、、しかもリリース元はデスロウですよ?これは流石に想定外と言うか、本当に恐れ入りました。何というか、今作に関しては松尾 “KC” 潔氏の感想も是非聞いてみたいかな?まさに感服。
DJ YU-1