Lil Loaded / A Demon In 6lue

Release Date / 8 Oct. 2020
耳の早い好事家ならテキサス出身の若きラッパーである Lil Loadedの事は既にチェック済みだろうか?そんな彼が 2019年に放ったヒット曲 = “6locc 6a6y” は、叙情的なピアノの上ネタにお馴染みトラップ・ビートが中毒的にハマるシリアスな1曲なのだが、コレがまたオリジナル・バージョンに加え、メンフィス出身の若手MCであるNLE Choppaをゲストに迎えたリミックス・バージョンの双方がYouTube上で3000万回再生超えを果たすくらい・・・それはもうバズりにバズった問題作なのだ。しかも、この”6locc 6a6y”を世に落とした時点で Lil Loadedは若干18歳!あれから2年が経過した2021年になると同曲は、米・レコード協会からゴールドディスク認定を受ける等、20歳になった彼を祝福する1年になるかと思われたが、ここに来て悲劇が起きてしまう。そう、またしてもラッパーの訃報となってしまうのだが、Lil Loadedまで帰らぬ人となってしまったのだ。しかも今回の彼の死は、薬物関係だったりビーフに巻き込まれた訳ではなく、自殺と言うのだから穏やかではない。そう、かねてから友人の過失致死容疑で裁判にかけられ、自身のInstagramでも意味深な投稿をしていたのでメンタルに異常を抱えていた事は分かるのだが、まさか自ら命を絶ってしまうとは。正に死人に口無しとは良く言ったもので、これでは裁判で先述した事件の真相を追及する事まで困難になったと言えるだろう。
という訳で、Lil Loadedの華々しいデビューアルバムとなる筈だった今作『A Demon In 6lue』も遺作として紹介せざるを得なくなってしまった。筆者は、彼の私生活や起こした事件の事まで全てを把握している訳ではないが、今作を聴く限りヒップホップ・シーンがまたしても惜しい才能を失った事は痛感した。その内容に言及すると、既にヒットした “6locc 6a6y”は勿論の事、同曲とリンクしたタイトル曲である “6locc 6a6y Ways”や、昨年に不慮の事故で亡くなったNBAのスーパースターに捧げた “24 Kobe”、同年代のトップMCであるPolo Gと作り上げた “While I’m Here”など粒揃いのトラックが並ぶだけでなく、リリックで扱うトピックスから柔軟にビートに乗るフロウを筆頭に、今作が何処を切りとっても間違いないアルバムと言えるだけに本当に彼のスキルが惜しいのだ。しかも若干20歳にしてゴールドディスクまで獲得したのなら人生に希望しか無さそうなものなのだが・・・
終わってしまった事は仕方ないが、出来る事なら次回作も聴きたいと思わせるラッパーだった。R.I.P.

DJ Yu-1

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