Release Date / Sep. 28th 2010
昨年09年6月30日にデフジャムより「Jeremih」(ジェレマイ)でデビュー。全米アルバムチャート6位、R&Bチャートに至っては1位を獲得するという新人としては異例のスタートを切った。アルバムが話題になった要因に、一度聴いたら忘れない独特な雰囲気をかもしだした先行シングル、特にその内容が“Birthday Sex”と言った内容なら人々が耳を貸さないわけがない。“Birthday Sex”は全米総合シングル・チャートで4位、もちろんR&Bチャートでは1位を記録し、彼の個性と名前を人々に知らせるのに大いに貢献した。そんな彼のビジネス・センスは過去に高校を16歳で飛び級卒業し、大学時代にミュージック・ビジネスを専攻していたという経歴からも伺える。過去の黒人シンガーのようにこぶしを使ってフェイクで歌いまわすというよりは、覚えやすいキャッチーなメロディーと描きやすい歌詞、自らが手掛ける独創性あふれるトラック制作が武器。そしてその武器を完全装備し、攻撃に出たのが本セカンド・アルバムの「All About You」というわけだ。今年(2010年)の7月にラジオから流れた“I Like” (featuring Ludacris)”は、曲を耳にした瞬間にJeremihだとわかる曲調であり、本作からの披露目作にドンピシャという印象。セクシャルな歌詞、フックに放つ妙なイントネーションの【アエラ~】と脳天に残るフレーズ。お決まりの彼を聞きたいファンにはたまらない1曲である。アルバム全体を通じて、こうした強烈な個性が一段と確立される中、前作に比べ音楽的にも確実に成長しているのが各トラックを検証すると見えてくる。1曲目の“All About You”は音数の少ないタイトなビートがモチーフ、“Down On Me”では50Centをフィーチャーしたフロア映えする旬音、“Waiter”では女性に向けて「あなたに一晩中ご奉仕いたします」的なセクシャルソング。(彼の場合ほとんどがエロ歌詞だが)アルバムのレビューは十人十色となるだろうが、個人的には久々のヒット作。現代R&Bの象徴、黒人大衆向けのB級グルメ最高作とも言いきれる作品。
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