J. Cole / Cole World: The Sideline Story

Release Date / Sep. 27 20011
Cole World: the Sideline Story
2011年現在26歳、ドイツのフランクフルト生まれ西海岸育ちのラッパー&プロデューサー。2009年にJay-ZのRoc Nationと契約し2年間の歳月を経てようやくデビューへと至った。今回のメジャーデビュー作は10月15日の全米アルバム・チャートでリリース週に218000枚を売上げ堂々の初登場1位を記録。もちろんR&B/Hip Hopアルバム部門でも1位となり、大ボスJay-Zの期待を裏切らない数字を打ち出した。彼がデビューするまでのこれまでの仕掛けをたどると、メジャーでの初披露はJay-Zが09年にリリースしたアルバム「The Blueprint 3」収録の“”A Star Is Born”にさかのぼる。そして2010年にR&BシンガーのMiguelの“All I Want is You”(全米R&B / Hip Hopチャートで最高7位を記録)にてフィーチャーされた頃には「このラッパーは誰?」と注目を浴び、いつシーンに姿を見せても燃え尽きる用意が出来ているようだった。2010年の暮れに名刺代わりリリースしたミックス・テープ「Friday Night Lights」はコアなファンの間で既に話題の的となり、ビデオ・クリップ化された“In The Morning”(Drakeをフィーチャー、本作にも収録済み)は私がDJの現場として通う米軍基地のBarでもリクエストを頻繁にもらうようになり、そこで初めて彼の注目度の高さを肌で感じた。彼のアーティストとしての完成度をラッパーとして、そしてプロデューサーとして見た時に、その2つから成るトータル性は10年に1度レベルの才能を感じずにはいられない。本作「Cole World: The Sideline Story」に関してもトラックはほとんどを自身で手掛け、サンプル素材の引用法は無二のロマンチスト性を披露。プレステの「キングダム・ハーツ」を遅回しで使った“Dollar and a Dream III”はこれまでに無いスケールの大きさをバックにリリックをかまし、1曲目にしてリスナーを引き寄せる。Trey Songzをフィーチャーしたアルバムからのセカンド・シングル“Can’t Get Enough”の元ネタには古いアフリカン・ミュージックを引用。他にもどこから見つけてきたのかJazzネタなど、カニエ・ウエストさえ打ち負かすような見事なトラック制作に目が離せない。ゲストにMissy Elliottの歌や自ら恩師と語るJay-Zとのコラボも面白い。

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