Release Date / OCT. 5 2017
第3代目アメリカン・アイドル優勝者にして、波瀾万丈の半生やサクセス・ストーリーも良く知られる不屈のディーヴァことファンテイジアが自身初となるクリスマス・アルバム「Christmas After Midnight」をリリースした。今作はファンテイジアの祖母の誕生日がクリスマスである事がきっかけとなりクリスマス・ソングのカバー集という形で制作されたそうだが、それよりもっと注目したいのはクリスマスの名曲達をリメイクしたサウンド・プロダクションの中身だ。そのプロダクションの重要なキーワードは”ブロードウェイ”と”ジャズ”である事は今作を聴けばお判りいただけるだろう。まず「Christmas After Midnight」のサウンド・プロダクションのジャズっぷりの伏線は、ファンテイジアが所属していたRCA Recordsへの不信感をきっかけとしたレーベル移籍では無いかと思う。まだRCAに所属していた時期にリリースした前作「The Definition Of…」では、TLCのラストアルバムでも辣腕を振るったベテラン・プロデューサーのロン・フェアとタッグを組み、ファンテイジアの今後のサウンドの方向性を示す事に成功した一方、自身の作品の内容へ過度に干渉してくるRCA Recordsとの関係性の悪さも露呈してしまったファンテイジア。それが原因か今年に入ってRCAとの契約を解除すると、新たにディールを結んだレーベルがジャズの名門Concord Music Groupという訳だ。そして今回のレーベル移籍を果たした後に再びロン・フェアとタッグを組むことになるのだが、そこで完成させた今作「Christmas After Midnight」ではレーベルに左右されない本当の自分自身のサウンドを存分に披露。その作りたかったサウンドこそがファンテイジアが依然にゲスト出演したブロードウェイ・ミュージカルの『After Midnight』をオマージュしたジャズアルバムだそうで、これは前作からロン・フェアと共に温めていたプランだとか。うーん、レーベル移籍までして実現させるとは何たる執念か(笑)いやいや、そこまでする価値のあるアルバムになっているのだから恐れいる。ダニー・ハサウェイの‘‘This Christmas’’やジャクソン5の‘‘Give Love On Christmas Day’’といったクリスマス定番の名曲を大人びたジャズにリメイクしたロン・フェアの手腕もさることながら、それぞれの曲達を水を得た魚のように乗りこなすファンテイジアも見事。確かにこのタッグはオリジナル・アルバムでも聴いてみたくなるものがある。ともあれこの季節にピッタリなクリスマス・アルバムを聴きながら次回のオリジナル作品を待っていようじゃないか。
(DJ YU-1)
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