あのジャクソン5に楽曲を提供していた事でも知られるボビー・デイを祖父に持つソング・ライティングのサラブレッド = エリック・ベリンジャー。そんな彼自身も2010年頃からソング・ライターとしてクリス・ブラウンの”Love More”やジャスティン・ビーバー”Right Here”、アシャンティ”The Woman You Love”、アッシャー”Lemme See”等、数々のヒットシングルを手掛けてきた実力派だ。そして上記の通り自身のキャリアの前半としてはソング・ライターとしてR&Bシーンをバックアップしてきたエリック・ベリンジャーだが、自己名義の作品としては2014年の「The Rebirth」が代表作で間違いは無いだろうか?うん。確かに「The Rebirth」は、クリスティーナ・ミリアンやアッシャー、マリオといったトップシンガーのアシストがあったものの、当時のインディーズ発としては異例となる米iTunesアルバムチャートにて初登場3位というヒットを飛ばす。また同作からは、DJ的なトピックスとしてクリス・クロスのスーパークラシック”Jump”を大胆にサンプリングした”I Don’t Want Her”のクラブヒットも外せないはずだ。そして、この2014年のブレイク以降も精力的にスタジオアルバムやミックステープを発表してきたエリック・ベリンジャーだが、この度は新作となる「Hors D’oeuvres」をリリースした。とりわけ2020年のR&Bシーンの大きな話題と言えばウィークエンドの「After Hours」の大ヒットが記憶に新しいのだが、同作の新しい試みと言うかアバンギャルドに攻めたサウンドに戸惑った聴き手が多かったのも事実。そこで、そんな人達に強く勧めるのが今作「Hors D’oeuvres」だったりする。そう、先も述べたがウィークエンドの新たなサウンドがアバンギャルドだとしたらエリックのR&Bは極めてオーセンティックな鳴りを響かせるのだ。そのメロウに聴かせる”Dream”から幕を開ける今作「Hors D’oeuvres」は、”Whatever”、”No Co-Sign”、”Double Standard”、”Switch Up”といった耳障りの良いミドルチューンが小気味良く並ぶ。また”Mamba Mentality”では、エリック自らがキレのあるラップまで披露してくれたではないか。これら粒揃いの収録曲達は、誤解を恐れずに言えば聴き手を選ばない万人受けの聴き易さを備えていると言えるだろう。まぁ、少し意地悪な見方をすれば今作からは”I Don’t Want Her”の様なキラーチューンも見当たらないのだが、その分リピートして何回も聴いていられる安心感が◎という事で。
DJ YU-1
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- Eric Bellinger / Hors D’oeuvres