Release Date / 7 April 2023

これまでの彼女の輝かしいキャリアに加えて、今作に参加した制作陣の豪華さには恐れ入りました。更には私生活で母親になってから初めてドロップしたアルバムときたら、そりゃあレコーディングに気合いも入るってものでしょう？と、言う訳でエリー・ゴールディングの通算5枚目となるスタジオ・アルバム『Higher Than Heaven』は、ポップスが本来持っている筈のポジティブなパワーが随所に感じられる煌びやかな作品となっているので是非とも紹介したい。そう、彼女の伸びやかなボーカルは勿論の事、グレッグ・カースティン、ジュリア・マイケルズ、ジェシー・シャトキン、Koz らの売れっ子プロデューサー達の名がクレジットされたトラックリストが眩い光を放ちっぱなしなのです。取り分け昨年2022年に発表された先行シングル達の秀逸さと言ったら！

まずラッパーのビッグ・ショーンのフロウも冴え渡る “Easy Lover”,切れ味鋭く恋愛にピリオドを打つ “Let it Die” 。 この両シングルとも今作の軸となる素晴らしい仕事を施されたサウンドで、既にUKチャートを賑わせていたのだが、それ以外の楽曲も曲者揃いだったりして。例えば、80年代のポップスをオマージュしたと言う “By The End of The Night”, 先述したグレッグ・カースティンとの初コラボ曲となった “Love Goes On”, またクレイグ・デヴィッドやローリン・ヒル、デスティニーズ・チャイルドといったR&Bシンガー達から受けた影響をダイレクトに曲に落とし込んだ “Wating For It” (個人的に今作のハイライト)など、どの収録曲もシングルカット出来る程のクオリティを誇っている。なんと言ってもエリー本人がApple Musicのインタビューにて今作を最高傑作だと豪語するくらいだ。その言葉に偽りが無い事は今作『Higher Than Heaven』を聴けばすぐに分かるだろう。早くもUKチャート界隈では自身4作目となる1位奪取がアナウンスされいるくらいだが、筆者としては今作のセールスよりも中身の充実さを強調したい。いやぁ、本当にポップスの王道みたいなアルバムでした！アフターコロナに沸き立つエンタメシーンのド真ん中に投げる直球は見事。リスナーの1人として、今作にすっかりと喰らってしまった次第だ。

DJ-YU1