Release Date / 2 Aug. 2019
これは完全なサプライズリリースと言っていいだろう。このタイミングでドレイクがアルバムをドロップしてくるなんて想定外ではあったが、じつは今作「Care Package」は新曲入りのスタジオ・アルバムという訳では無い。遡ること2010年から最近までの既発の曲の中でストリーミング配信されていなかった曲達をリストアップしての再リリースという変わり種の作品集となっている。だが、そこはトップMCのドレイクだ。当然ながら今作は単なる寄せ集めのトラックリストでは無い。その中身を覗いてみると2011年にリック・ロスと共作した‘‘Free Spirit’’、2013年にJ・コールをフィーチャーした‘‘Jodeci Free Style’’など当時のフロアを熱く盛り上げた曲も多数収録されており、寄せ集めどころか裏ベストアルバムの様相を見せるくらいの粒揃いのキラーチューンが並ぶ。また、こうして改めて過去のドレイクの作品を聴いていると、ここ数年のヒップホップのスタジオワークスの目まぐるしさが垣間見れて面白いとさえ思った。いや、本当に直近の10年間でラップソングにおけるトラックの流行りの移り変わりは激しかったのだが、この10年間のどのようなタイプのトラックでも自在に乗りこなすドレイクのフロウに再び打ちのめされてしまった気分だ。そんな中でも個人的に気になった曲は‘‘Draft Dax’’。なんか聞き覚えのあるメロディラインと思ったらローリン・ヒルの‘‘Doo Wap’’のコーラスをサンプリングしているでは無いか！そう、ドレイクとローリン・ヒルと言えば彼女の‘‘Ex-Factor’’を大胆にサンプリングした‘‘Nice For What’’をつい先日に大ヒットさせたばかりでは？うん、確かに‘‘Doo Wap’’と‘‘Ex-Factor’’が収録されている1998年の「The Miseducation」は名盤中の名盤だが、どんだけローリンが好きなのよ(笑)なんて言いつつも両者のサウンドの相性の良さは周知の事実だし、次回はローリンのフージーズ時代のネタを乗りこなすドレイクも聴いてみたい。実現したら、またバカ売れするんだろうなー。
(DJ YU-1)