Release Date / 4 Aug. 2020
周知の通りコロナ禍に見舞われた2020年だが、そんな今年の音楽シーンでも相変わらずヒップホップ / トラップ勢のセールスは好調を保っており、その中でも4月にリリースされたDaBabyのスタジオアルバム『BLAME IT ON BABY』のヒットは記憶に新しいところだろう。米・ビルボード200において1位を飾ったアルバム自体は勿論だが、米・シングルチャートで7週に渡りトップをキープした”Rockstar”の快進撃は、ちょっとした社会現象に発展しかけたくらいだ。そう、オリジナルの”Rockstar”こそラッパーにありがちな俺様的なリリックに終始したキャッチーな1曲なのだが、問題は”Rockstar(BLM Remix)”の方だろう。このリミックスは”BLM(ブラック・ライブス・マター運動)”の3文字を冠しているだけあって、白人警官による黒人達への過剰な暴力行為を痛烈に批判するDaBabyの怒りに満ちたヴァースが追加されたヴァージョンとなっているのだ。とりわけ世界中のSNSでハッシュタグBLM(ブラック・ライブス・マター)付きの投稿が相次ぐ最中でのトップMCによる直々の〈BLMラップ〉は多いにバズったに違いない。そして『BLAME IT ON BABY』に、この”Rockstar(BLM Remix)”も含めた新曲11曲を追加したデラックス盤が今作『BLAME IT ON BABY(DELUXE)』という訳だ。
まず今作に関して勘違いして欲しく無いのは、このデラックス盤はBLM問題やコロナ禍に一石を投じる様なコンシャスなアルバムでは無いという事だ。確かに今作で言えば”Rockstar”のヒットが独り歩きしてしまった印象もあるが、本来DaBabyは生粋のヤンチャなエンターテイナーであり、追加された他の曲達は、むしろ勢いのあるラッパーによるエンタメ作品として楽しむ事を推奨する。特に追加の楽曲で眉唾物なのはルーズなワンループが響き渡る”BILLBOAD BABY”や、ヤング・サグをゲストに迎えたキラーチューン”BLIND”、DaBabyには珍しく?早口ラップまで披露した”TLC”あたりか?いずれにせよ4月にリリースした『BLAME IT ON BABY』が未だにアルバムチャートでトップ10をキープしている中でのデラックス盤の追撃には恐れ入りました。だって、並のラッパーなら追加の新曲は次のアルバムのストックにしておいても問題ないくらいのクオリティですよ?
(DJ YU-1)
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