Chemical Brothers / Born in the Echoes

Release Date / July 17 2015
Born in the Echoes
ビッグビート再び!約5年振りとなるニューアルバム「Born in the Echoes」をリリースしたケミカルブラザーズ。この5年間でダンスミュージックは劇的な進化を遂げたが、彼らの目にはこの5年間がどう写ったのか?その答えが今作にある。アルバムリリースの際、イギリスのガーディアン紙の取材を受けたケミカルブラザーズは最近のEDMは全て同じ曲に聴こえるといった辛辣なコメントを残しており、昨今のEDMブームには辟易した様子。後発のEDMのアーティストにも多大な影響を与えたであろうケミカルブラザーズの発言なだけに何とも皮肉である。いや確かにケミカルの音楽をEDMの一言で片付けるのも無理があるが。ロックとブレイクビーツを融合させ、エレクトロのエッセンスも加えたケミカルの音楽は唯一無二の存在であり、だからこそビッグビートといった新しい言葉で形容される程の個性があるのだ。今作でもそのビッグビートの健在振りを見せてくれた。
まずリードシングルである‘‘Go’’ではラッパーのQ-TIPと10年振りの共演。前回共演した‘‘Glvanaize’’同様にクラブヒット間違いなしのオールジャンル適用キラーチューンといった出来映えである。かつてネイティヴ・タンヒップホップの主役であったQ-TIPも随分ヒップホップのイメージから離れた気がするが、ケミカルのビートとの相性はやはり抜群だ。他にもSt.Vincent、Beckや新進気鋭のアーティストCate Le Bon、Ali Loveら様々なジャンルのゲストが参加。インストゥルメンタルの曲とのバランスも絶妙で聴き応えのあるアルバムとなっているが、流行りのEDMと一味違うのはやはりブレイクビーツを取り入れたビートでは無いか?ビートに合わせて身体を動かすからこそのダンスミュージックだと言わんばかりの曲達にベテランクリエイターの矜持を垣間見た思いだ。
(DJ YU-1)

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