Release Date / 13 Sep. 2019

いやぁ、この手応えのスタジオ・アルバムがビルボード初登場42位って本当ですか！？

いきなり疑問系から始まってしまったが、日米を股にかけて、その存在がポップアイコンになりつつある次世代のスター = チャーリー・XCXの約5年ぶりとなるアルバム「Charli」がセールス面で意外？な苦戦を強いられそうだ。うん、個人的には今作はポップスの作品として非常に攻めていて好印象を持っていたのだが・・・

そんな今作「Charli」の中でも特に先鋭的に感じたのがトロイ・シヴァンをゲストに迎えた先行シングルでもある‘‘1999’’だ。この‘‘1999’’は一聴するとオーソドックスなポップソングに聞こえるのだが、実はそこがミソだったりする。ミュージックビデオでは映画『タイタニック』や『マトリックス』のオマージュで魅せてくれた同曲はタイトルからも分かる通り1990年代からの影響をダイレクトに表現した曲となっている。確かに70〜80年代のファンク系のリバイバルが流行中の音楽シーンでは90年代のオマージュは先を行き過ぎた感もあるが、このセンスは決して嫌いじゃない。また、この‘‘1999’’から一転してアルバム最後に近未来的な曲調の‘‘2099’’のエキセントリックさに繋げるポイントや、「Cuz I Love You」が絶賛バカ売れ中のリゾをゲストに迎えた‘‘Blame It On Your Love’’の聴きやすさ、更にはメイクアップ・アーティストであるイネス・アルファと作り上げた衝撃的なアルバム・ジャケットの攻めっぷりなど、今作「Charli」はポップスのアルバムでありながら、一筋縄ではいかない手強さを感じる作品となっている。これは例え現時点でセールスが振るわなかったとしても数年後には再評価されるパターンですか？近いうちに90年代ブームが来るであろう音楽シーンだが、2019年には少し早すぎたのかも知れない。無論、個人的には好きなアルバムである。

(DJ YU-1)