Release Date / July 28 2017
皆さんはヒップホップ、またはラッパーに対してどんなイメージを持っているだろうか?所謂ストリートだとか、ギャングスタにハスラーだとか、やたらとアウトローな言葉で語られがちなラッパー達だが、なかには肩の力が抜けた緩~いMCもいたりする。80年代~90年代にかけて活躍したビズ・マーキーや、日本で言えばスチャダラパーあたりが‘‘ユル系MC’’の筆頭だろうか。しかし、確かに緩いキャラもいるとはいえヒップホップ・シーンの中ではまだまだ珍しい希少種であることに間違いは無い。と、前置きはここまでにしておいて、良い意味で随分と‘‘舐めた野郎’’がデビューしました。緩いというかコミカルというか、ヒップホップに対する世間のイメージとは掛け離れているのに何度も聴きたくなる中毒性を持つ不思議なラッパー。そんなオレゴン州出身、若干23歳のAmine(アミーネ)のデビュー・アルバム「Good For You」が面白いことになっている。まず、このアミーネ自身のブレイクが昨年のことなのでまだまだ記憶に新しいところだが、今作にも収録されているシングル‘‘Caroline’’のヒットなくして今の勢いはあり得なかっただろう。独特なリズムのホーン系サンプリングループが特徴的な同曲はリリース当初こそ良いリアクションが得られなかったものの、ジワジワとチャートを駆け上がると最高で全米11位まで食い込む。すると今年に入ってからもしぶとくチャートに居座り続け、遂にはトリプルプラチナを達成!このヒットによりアミーネは、あのXXL紙で次代のスター登竜門といえる名物企画XXL Freshman Classにも選出されるなど順風満帆なキャリアの滑り出しに成功。この期待値の高さの中で1stアルバムをドロップした訳だが個人的には、アミーネの曲者っぷりが随所で楽しめる‘‘変化球投手’’な一枚と評したい。まぁ、ジャケットのアートワークスを見ても分かると思うが、とにかく良い感じに舐めてます(笑)扱うリリックのトピックスも独自の目線でシニカルなものが多いのだが、決してイロモノMCに聴こえないのは確かなライミングに裏打ちされたラップのスキルの賜物だろう。現に今作ではジャハン・スウィート、フランク・デュークス、マレイ、メトロ・ブーミンとバラエティ豊かな制作陣がプロデュースする様々なタイプのトラックを自由自在に乗りこなしてみせた。佇まいは飄々と見えるが、中身は実力派のラッパーといったところか?なかなかやるじゃない?こういう感じは嫌いじゃないよ。
(DJ YU-1)
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