Release Date / 9th Dec. 2022
奴はNY州ブロンクス育ちのラッパーの筈なのだが、その楽曲からは随分とアトランタ州のHIP HOP の香りが立ち込める。いや、このSouthライクなフレイヴァはメインストリームのHIP HOPシーンで結果を出してくれる甘美なフロウと言ったところか?そう、まだ A Boogie Wit Da Hoodie(以下 A Boogie)というアーティストのキャリアがスタートしてから10年も経過はしていないのだが、彼は既に複数のアルバムをbillboard200の上位に叩き込んできた実績を持つ実力派だ。なんならストリートのハスラー上がりという育ちの悪さにも関わらず、ニューヨークタイムズ紙が〈将来有望〉とまで絶賛してしまう程の若き才能を秘めた男が A Boogieなのだが、そんなMCが2022年末に放った4thアルバム『Me vs Myself』がまたドス黒い輝きを放っているではないか。
その中からシングルカットされた “B.R.O” , “Take Shot” は、如何にもヘッズ達にウケそうなトラップ風ビートに加えて Roddy Ricch に Tory Lanez といった売れっ子MCまで客演しているのだが、あくまでも主役のラッパーは A Boogie だ。最早その存在感は、一流のスターのそれと言っても過言ではない。もうね、、、彼はキャラが立ちまくっております。ハスラー上がりらしい危険を伴うリリックは勿論の事、ミュージックビデオでも光らせていた極太でブリンブリン(死語?)なネックレス、更にはイケメンと三拍子揃った A Boogie のアイデンティティを見れば嫉妬する気も起きないだろう(笑)そんな彼がドロップした今作『Me vs Myself』は billboard200では最高6位という結果で、自身の過去作品と比べると少し寂しいセールスになってはいるものの、筆者としては非常に聴き応えのあるアルバムだと思っている。その素晴らしいアルバムの中から敢えてシングル以外のトラックをレコメンドするなら Kodak Black をゲストに迎えた “Water(Dorowing,Pt2)” , または “Money Conversations” , “Main in the Mirror” あたりだろうか?いずれの楽曲達もフロア映えするビートとラップが中毒性を秘めており、現場で活動するDJにとっても重宝する飛び道具になりそうである。
DJ YU-1