Release Date / 12 Dec. 2019
個人的にアトランタ産のヒップホップのレビューを書くのは久しぶりな気がしたが、まだまだサウス勢は元気なんだと再確認できた1枚である。という訳でアトランタ出身のラッパー = YFNルッチが新たにドロップしたスタジオ・アルバム「History」を紹介したいと思う。まずYFNルッチと言えばミーゴスとトラブルが参加したシングル”Key to the Street”による2017年のクラブヒットが記憶に新しいのでは?そんな同曲はリリース当時に旬の真っ只中にあったミーゴズの援護射撃の甲斐もあって、全米各所のラジオ局やクラブのフロアでは絶賛ヘヴィローテーションされた1曲。特にYFNルッチの地元であるアトランタ周辺では大ウケだった訳なのだが、ビルボード・チャート的には70位あたりを行ったり来たりでもあった。当然この時点では彼の知名度は全国的なモノという訳ではなかったが、この度リリースされた今作「History」のクオリティはどうだろうか?個人的にはなかなかタイトなアルバムに仕上がっていると思うのだが?そんなYFNルッチは同郷のリッチ・ホーミー・クワンも所属するレーベルである[Think It’s A Game レコーズ]のイチオシのMCでもある。という事は今作「History」も聴けば納得のアトランタクオリティ。サウンド的には若い世代のヘッズに直撃のトラックがズラっと並ぶのだが、彼のラップのスタイルにもピンズドだったりする。むしろマンブルなフロウだけではなく、しっかりとしたラップも聴かせるルッチの姿勢には好感が持てるくらいだ。この辺は本人も影響を受けたと公言している様にJAY-Zや2 PACを聴いて育った片鱗が見てとれる。また今作のゲストには前作に引き続きトラブルが”Nasty”に参加。そして同じくアトランタ出身のビガ・ランキンが最多の3曲にフィーチャーされていたりと、どこを切り取ってもアトランタ印のアルバムとなっている「History」。少し綺麗に纏まり過ぎている印象も受けるのだが、この手のサウンドは今みんな大好きでしょう?先程も述べたが、まだまだサウスのヒップホップは元気な様だ。
(DJ YU-1)