Release Date / 1 Mar. 2019
2016年に発表した前作「A Seat At The Table」は、ソランジュというシンガーのキャリアにおいて間違いなくハイライトと言える作品だ。分かりやすい指標で言えば、全米チャートで1位を獲ったとか、第59回グラミー賞で最優秀R&Bパフォーマンス賞を獲ったとか、簡単に彼女のアルバムの事は幾らでも語れるが、その本質はもっと奥深いところにあるのでは無いかと思う。例えば、アメリカという多国籍の人種が入り乱れる土地で自身のルーツが黒人女性である事を正面で受け止めて生きて来た様なリリック、またはプロデューサーであるラファエル・サディークによる派手さは無いが凄みの有るタイトなトラック達。本来ならこれらが語られるべき作品の本質なのでは?つまり何が言いたいかと言うと、前作「A Seat At The Table」は、音楽的なアート作品としてもコンシャス的な意味合いとしてもR&Bというジャンルの完成形の一つを示した非常に重要な作品である思う。少し乱暴な表現になるが、エンターティナーとしては実の姉であるビヨンセに軍配が上がるが、アーティストとしてはソランジュの方が一枚上手ではないかとすら思えるのだ。ここで本題に入るがこの度、彼女が発表した新作「When I Get Home」の手ごたえはどうだろうか?前作であれだけの世界観を魅せただけに聴き手の期待もより大きくなると思うのだが・・・
まぁ、先程の様に分かりやすい指標で言えば全米チャートでは初登場7位。そこだけ切り取れば前作よりセールス面では落ちた様に見えるが、やはりそこは本質では無いと思う。「When I Get Home」は前作同様に派手な曲は無いがアート作品としては抜群の安定感があるでは無いか?その聴かせ方は、やはり彼女らしいと言うか今作でも全19曲入りの中でインタールードを6曲も挟む事により、より一枚のアルバムで一つの楽曲として聴かせるような意図が強調されている様に感じる。また、ファレル・ウィリアムスやタイラー・ザ・クリエイター、メトロ・ブーミンといった旬のアーティストが制作に関わっているのにも関わらずソランジュの世界観がブレないあたりも流石だ。というか姉妹で同じR&Bをやってても、本当に音楽に対するベクトルが全然違うのね・・・どちらのベクトルでも一流になってしまうあたりは恐ろしい姉妹だと思いますが(笑)
DJ YU-1
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