Release Date / 12 Feb. 2019
個人的にはオーガスト・アルシーナという男は、現在のR&Bシーンでは一番ストリートの匂いがするシンガーだと解釈している。やはりこの匂いはラッパーさながらのスキャンダラスな半生を歩んだ男が持つ特有のものだろうか？そのストリートの匂いを求める幾多のMC達から受けた客演のオファーをこなしながらも、気付けばいつの間にか自身名義のスタジオアルバムは2015年の「This Thing Called Life」まで遡ってしまっているではないか。いや、2017年には久々となるシングル‘‘Drugs’’をリリースすると、遂に3rdアルバムの発表の準備がある事をアナウンスしたオーガスト・アルシーナは‘‘Wait’’、‘‘Lonely’’、‘‘Don’t Matter’’といったシングルを続け様に発表。いずれの曲も彼らしい哀愁が漂うメロウチューンとなっており、いよいよ3枚目のスタジオアルバムが近づいてきたと思われたが、昨年中にはアルバムの発表は叶わなかった。そして2019年に入るとバレンタインデーとなる2月14日に8曲入りのEPの「Forever and A Day」をリリースしたオーガスト。この8曲に2017年に発表したシングルを加えればEPでは無くアルバムという形でもリリース出来そうなものだが、きっと彼なりの考えがあっての事だろう。ひとまず今作「Forever and A Day」でもオーガスト・アルシーナの歌声は健在で、以前公表した肝臓病による影響を感じなかった事には安心した。そう、オーガストと言えばドラッグの密売に代表される様な波乱万丈な半生もさることながら、先の肝臓病だけではなく、円錐角膜という眼の難病を患い視力の殆どを失うなど、若くしてその身体はすでに満身創痍なのである。だからこそ元気なうちに早く次のアルバムを聴きたいところだが、オーガスト自身は他人からの同情が欲しくて病気を公表している訳では無いとも発言しており、次回作の発表は未だに掴めていない。しかしながら、「Forever and A Day」では本当に満身創痍の男とは思えない素晴らしい歌声なだけに、やっぱり早く彼の3rdアルバムが聴きたいし、元気なうちにライブも見たいものなのだが・・・
(DJ YU-1)