Release Date / Feb. 5 2016
2012年に15年振りの復活を果たし、健在ぶりを見せてくれたSWVの通算5枚目となるスタジオアルバムがリリースされた。タイトルは「Still」。今作は本来なら昨年10月に発表の予定だったが、2016年2月にずれ込んでの発表となった。前作「I Missed Us」は15年ものブランクがあるにも関わらずグラミー賞候補にもノミネートされる等、大きな話題を呼んだが今作もR&Bマナーに忠実な間違いない1枚と言えるだろう。昨年にアルバムから先行して発表されたシングル‘‘Ain’t No Man’’は80年代に活躍したズィンガラの‘‘Love’s Calling’’をサンプリングした一曲。90年代から活動しているSWVらしいサンプリングネタのチョイスは個人的にツボである。尚、同曲のプロデュースはミッシー・エリオットやモニカを手掛けるケイノン・ラムによるもの。前作でもプロデューサーを務めたラム自身がSWVのファンを公言するだけあって互いの相性も良さそうだ。
随所に90’sフレイヴァを感じる今作「Still」だが、70年代のダンスクラシックのような‘‘On Tonight’’や、レイドバックしたルーズなビートが西海岸的な‘‘Love Song’’等、各曲に個性がありリスナーを飽きさせない。このような普遍のスタイルを確立したアーティスト特有の安定感は、昨年発表されたジョデシィの「The Past . The Present . The Future」を彷彿とさせる。私事ではあるが、90年代からブラックミュージックに触れた自分にとってはこのような作品を現在進行形の新譜として聴ける事自体が感慨深いのだ。現行の音楽シーンにおいてトップセールスを誇るアーティスト達とはスタイルが異なる彼女達が、今現在どのような評価を受けるか楽しみである。余談だが、今作の日本盤には彼女達のクラシックである‘‘Right Here’’、‘‘Weak’’、‘‘I’m So Into You’’のリメイクバージョンが収録という嬉しい特典付き。
(DJ YU-1)
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