T-Pain / Revolver

Release Date / Dec. 6th 2011
リヴォルヴァー
メジャー4作目となる本作は2009年から2011年までにレコーディングされ、試行錯誤のゆえに選び抜いたトラックのみを収録。今回のファースト・シングル候補でありながら、実際には収録リストから外れた、クラブバンガー向けの“Take Your Shirt Off”や、T-Painを一躍持ち上げたDJ Khaledのフィーチャー作”All I Do is Win”を始めとするフィーチャー作品の数々、そして本作のプロモ用として2011年5月にFree Downloadでリリースし膨大なツイッター数を獲得したミックス・テープ「prEVOLVEr」など、仕込みはバッチリの状態で臨んだ作品と言える。サウンドのデザイン力から巧みなラップ風の歌を取っても彼のスタイルはUSミュージック界では無二のスタイルであるのに対し、今までのT-Painは過小評価されていると感じる。しかし今回のアルバムでは、誤解を招かないよう自身が何者であるかをしっかりと証明している出来栄え、あとはリスナーが間違いのない評価をするのみである。Jay-Zが2009年に発表した“D.O.A. (Death of Auto-Tune)”では彼の影響力からかオートチューン(Tペインの持ち味であるロボット・ボイスのようなサウンド)が停滞し、非難に苦しんだ時期もあると推測するが、それは流行りがどうのではなく、彼の持ち味でありT-Painを表現する上で必要不可欠なツール。堂々と使いまくって欲しいと言うのがファンとしての心情だろう。さて、今作の気合の入れようはアルバムに参加した人材を見ても理解ができる。1曲目に組込まれたLil Wayne参加、T-Minus制作の「Bang Bang Pow Pow」、DetailとT-Painの共作でパンチのあるベースラインに乗せて激しいフロウを吐き出す。かと思えばPitbullをフィーチャーしたDJ Chuckieによる4つ打ち有りと華やか&バラエティーなスタートでアルバムが始まる。現在までの米シングル総合で最高8位を記録している先行作「”5 O’Clock” (featuring Wiz Khalifa)」はLily Allenの癒し声を拝借した曲。夜明け前に彼女を落とすのに仕掛けたい曲で、非常に良く出来ている作品だ。この曲から続く2曲は見事で超しっとりとしたスローソング。トータルで手掛けているのは本人だが、この辺りにただのラッパーではない彼の素晴らしい才能を垣間見ることが出来る。以下クリス・ブラウンやNe-Yo & DJ Luke、が参加した旬の音もバッチリおさえており、非常に完成度の高いアルバムに仕上がっている。

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