Release Date / August 8, 2011
アメリカの2大ヒップ・ホップ・スターの共演、今世紀最強のアルバム・リリースに世界のメディアが釘付け状態。発売週にアメリカ国内で43万6千枚を売り上げ、今年2番目に高い数字を打ち出した。(1番はLady GagaのBorn This Wayの100万枚超え)レコーディングは2人のスケジュールを縫って2010年10月からスタート、ニューヨークのElectric Lady Studiosを始め、市内のホテル・ルーム内でも頻繁にレコーディングが行われていたとのこと。限りなく新世紀時代のヒップ・ホップに逆行している音作りではあるが、ストリートの土臭さがプンプンと鼻を突く。リッチで何不自由ない大富豪となった今でも、彼らの出身はストリートであり、音楽に対して貪欲に求める姿は何十年経った現在も変わらない。アルバムからのシングル・リリースが遅かったのは戦略的に図ったことなのかは謎だが“Otis”がラジオでオンエアされてからヒット・チャートに登りつめるまでに時間はかかっていない。ソウル界の伝説で故人のOtis Redding(オーティス・レディング)が1966年に放った名曲”Try a Little Tenderness”のモロ使いサンプルは、なるほどカニエ・ウエストらしい発想でAKAIのサンプラーが2011年の現代にも名曲を生む手段となっていることに拍手を贈りたい。ちなみにカニエがアルバム収録曲に用いた他のサンプリングも分析してみると1曲目の“No Church in the Wild”にはギターリストのPhil Manzaneraの“K-Scope”とSpooky Toothの“Sunshine Help Me”の見事な組み合わせ。5曲目の“Gotta Have It”はネプチューンズとの共作だが、いかにもカニエの作り込みで70年代ファンキー一筋James Brownの数曲を組み合わせているなど、アルバムのほとんどがサンプラーによる作り込みで、今回のアルバムにクラシック・ヒップ・ホップ的質感をもたらす最大の要因となっている。ゲストにはJAY-Zの愛妻ビヨンセを始め、Mr Hudson、OFWGKTAのシンガーでビヨンセの新作で“I Miss You”を書き下ろしているデフジャムの新人Frank Ocean等。ゲスト・プロデューサーには東海岸の古株で88 Keys, RZA, No IDと言った面々に加え、カニエの右腕的存在Mike Dean, 売れっ子のSwizz Beatzなど。
- ホーム
- New Releases
- Jay-Z and Kanye West / Watch the Throne