Kodak Black / Dying to Live

Release Date / 14 Dec. 2018
いやぁ、勢いがあるね。果たしてこの勢いは本物なのか?コダック・ブラックに関しては前回「Heart Break Kodak」でもレビューを執筆したのだが、この頃は威勢の良い若手ラッパーの中の一人という認識だった。だが、新たにリリースされた今作「Dying To Live」のクオリティの高さとセールスの勢いはなんなんだろうか?これまでもドレイクやケンドリック・ラマー、リル・ウェインといったスターMC達が世にヒットを放ってはビッグネームの仲間入りを果たしてきたが、それらと同じ様な香りがコダックの「Dying To Live」から漂ってくるではないか。さて、前置きはここら辺にしておくとして、今作を紐解く上で外せないのは今年の10月のシングルチャートで初登場2位を獲得した‘‘ZEZE’’のヒットに他ならない。この‘‘ZEZE’’は、トラヴィス・スコットとオフセットがゲスト参加した事により質の高いマイクリレーが聴けたり、トラックのストレートな格好良さがあったりと非常に分かりわすいヒットの要因を持ち合わせているが、個人的には同曲があの問題児 = 6ix9ineとのビーフの噂を秘めているという点が気になった。なんでも‘‘ZEZE’’のタイトル自体、6ix9ineのヒット曲‘‘FEFE’’、‘‘KEKE’’を揶揄したものだとか。あくまで噂の真意はわからないが、実力派MC同士のビーフはいつの時代もリスナーを惹きつけるものだ。その間にもブルーノ・マーズと共に参加したグッチ・メインの‘‘Wake Up In The SKy’’がヒットするなど、着実に活動の幅を広げたコダックが満を持してリリースした「Dying To Live」が遂にビルボード・アルバムチャートにて1位を獲得する。もちろんコダックにとっては初の快挙だ。そして、これをきっかけにコダック・ブラックが本物のスターに成り得るかどうかが本当に楽しみである。何故ならもしこの世にヒップホップが無かったら、既にストリートでのたれ死んでいてもおかしく無いくらいの悪党だったコダックが、保釈からたった1年で全米1位だよ?もちろん彼の前科は非難されるべきものだが、今作からはヒップホップの本来あるべき姿も見てとれる。これは痛快。
(DJ YU-1)

PAGE TOP