Bad Bunny / X 100PRE

Release Date / 23 Dec. 2018
その個性豊かな音楽性から筆者としても多いに注目しているラテン・シーン。(個人的なイチオシはシンガーのベッキー・G)そのラテンの音楽性はやはりレゲトンに代表されるようなエキゾチックなサウンドが中心で、どこか南国のフレイヴァを感じるものが多く見受けられると思う。そして日頃からジャンルの枝分かれを繰り返し、複雑な多様性を持った音楽シーンに対して新たにエントリーしてきたラテンのリズムがまた面白い。とはいえ彼のサウンドが初めて注目を浴びたのは2016年の事だから先鋭的なリスナーには既に知られた存在だったかもしれないか。さて、ここで本題に入るが近年ヒップホップ・シーンを席巻しているトラップサウンドにスペイン語のリリックを乗せるというスタイル = ラテン・トラップなるスタイルの第一人者バッド・バニーの1stアルバム「X 100Pre」が年明け一週目のアルバムチャートでなかなかに健闘しているので紹介したい。そもそも無機質で淡々としたトラックを使用するトラップとラテンミュージックの相性って悪そうな感じしかしないのだが、今作を聴いてみると意外にもしっくりくる事に驚かされた。これはラテンどうこうと言うよりかはバッド・バニーのフロウとトラップの相性が良かったという見解が正しいのもしれない。今作で言えばディプロが客演とプロデュースまで手掛けた‘‘200 MPH’’、または‘‘Caro’’、‘‘Ser Bichote’’、‘‘Estamos Bien’’と言った曲はアトランタ発のヒップホップと説明されても違和感無いくらいである。しかしながら、それぞれの曲のタイトルがラテンノリであったりリリックで用いるスペイン語のフロウが不思議に聴こえたりで、なんとも形容しづらい面白さがある。もしやこのバッド・バニーというアーティストはとても器用なのではないか?ラテン・トラップという、今までありそうでなかったスタイルを確立した事にはしっかりとしたリスペクトを。そんな今作「X 100 Pre」はビルボード200にて2019年1月時点で最高11位を記録。1アーティストの1stアルバムとしてはまずまずの好成績だが、昨年チャートの上位を荒らしまくったトラップの作品としてはやや寂しい数字でもあるか?まぁ、トラップ・アルバムもあれだけの数を乱発された後だと新鮮味が薄れるのも仕方はないが・・・ただ今作はトラップ一辺倒という訳ではなく、エル・アルファをフィーチャーした‘‘La Romana’’の様なラテン全開の曲も意外と面白く、彼の今後の展開にも期待が持てるアルバムな事に間違いは無い。
(DJ YU-1)

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