メンフィスのヒップホップ・シーンの顔役といえばこの男で間違いないだろう。そう、2013年の「I Am」、2016年には「The Art of Hustle」、そして2017年には前作である「I Still Am」と、スタジオ・アルバムをリリースする度に安定してビルボードチャートの上位に送り込んできたラッパーのヨー・ゴッティ。そのキャリアはすこぶる順調で、既にベテランとしての風格が漂い始めたと言って差し支えないくらいだ。そんなヨー・ゴッティが2020年に入って間もなくドロップした今作「Untrapped」もまた安定感が抜群であり、この完成度の高さは流石の一言である。例えば、今作の収録曲でいえば”Know Yo Worth”、”Put a Date On It”、”Pose”、”Weekend”の様なトラップ寄りのトラックを難なく乗りこなしたかと思えば、タイ・ダラー・サインをゲストに迎えた”Like That”の様なメロウ・チューンもしっかりと抑え、更には王道のサンプリングトラックではヒップホップのコアな部分をこれでもかと突いてくるではないか。そんな今回のサンプリングネタでの眉唾物はディプロマッツの名曲”I’m Ready”とネタを被せてきた”More Ready Than Ever”ではないか?この煌びやかなビートを手掛けたのは、コーメガやロイス・ダ・5’9、リック・ロス、リル ・ウェイン等にも骨のあるトラックを提供してきたストリートランナー。また更にストリートランナーは”More Ready Than Ever”の他にもアルバムタイトル曲である”Un trapped”と、それと対を成すようなタイトルの”Trapped”の合計3曲をプロデュースしており、個人的にはこの3曲が「Untrapped」のハイライトだと考える。そして、これらのトラックを自在に操るヨー・ゴッティのフロウが存分に堪能出来た今作は、最新のビルボード・チャートで初登場10位を記録し、初動としてはまずまずの滑り出し。とりあえず今何を聴くか悩んでいるヘッズ達にオススメしておくべき1枚だと言えるだろう。
(DJ YU-1)
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