Usher / Looking 4 Myself

Release Date / June 12 2012
ルッキング・フォー・マイセルフ
“OMG”や“DJ ガット・アス・フォーリン・ラヴ”などの特大ヒット曲が収録された「Raymond v. Raymond」(2010) は全米国内のみで130万枚以上を売上げ大ヒット・アルバムとなった。常に時代のトレンドを作っている張本人だけに、約2年の歳月を経て発表される7作目への期待感は増すばかり。2012年5月17日ソニー本社にて一足先に行われた「Looking 4 Myself」試聴会の印象をもとに、アルバムの魅力をひも解いてみたい。さかのぼると2012年2月のバレンタインに解禁された1stシングル“Climax”だが、いきなりのSlowソングに気持ち良く裏切られた気分だったのを覚えている。制作は過去にMIAなどを手掛けたダンス・ミュージック界のカリスマ、Diploというのも意外性をついた。やや時間はかかったもの、2012年5月26日付けのR&B/Hip Hopチャートにて首位をキープ。現在は前作にて“DJ Got Us Fallin’ in Love”を手掛けたMax MartinとShellbackのセカンド・シングル“Scream”が勢いよく上昇中。2012年のサマーアンセムに向けて一直線に動き出している様子だ。一方、全米国内のヒップ・ホップ系ラジオ番組でひっきりなしにプレイされているのが、アーバン・シーン向けにアプローチをかける“Lemme See”。このアルバムで数少ないフィーチャリング・アーティストのRick Rossを迎え、グラミー獲得経験を持つ腕利きプロデューサーJim Jonsinが手掛けた作品である。全体像を見渡すと、アルバムの針を落として直ぐに飛び込むビリージョエルの名曲“Up Town Girl”のフック。ウィル・アイアムによるいたずらで、あまりのキャッチーさに痛々しいほどのインパクト。次に印象的な“I Care For You”は、極端にアンビエント系の音が多い構成のトラック。砂漠の地に木を植えるように困難極めるヴォーカルのメロディー作りは、アッシャーの長年のパートナー、Naturalが務めている。良く見ると他の多くの曲でボーカル・アレンジに携わっている彼は、本作のキーパーソンであることは間違いない。個人的に絶句となった曲はスウェーディッシュ・ハウス・マフィアがトラックを担当した“Numb”で、世界のダンス・フロアを沸かせる可能性を底なしに感じさせた。他にも彼らは“Euphoria”を制作。最近のダンス・ミュージック音にアッシャーの奥深さを上手くかみ合わせた曲で、こちらもヒットの可能性はノーリミットだ。更にはデラックス・バージョンにはアンダーグラウンド界では既にヒーートアップ中のラッパー、Asap Rockが客演、ファレルが制作の“Hot Thing”が話題を呼びそうだ。

PAGE TOP