Tech N9Ne / N9NA

Release Date / 19 April 2019
この男は歩んだキャリアもかなり長く、ラップのスキルもある一定のプロップスは得ているのに、何故かメジャーどころのメディアからの扱いが小さくなりがちな気がする。まるで”インディ番長”とでも呼びたくなるラッパーのテック・ナインだが、筆者としては彼のメインストリームに媚びない姿勢は割と好きだったりする。とは言え、テック・ナインは決してセールスに恵まれないラッパーと言う訳では無い。むしろ過去には2011年の「All 6’s And 7’s」、2013年の「Something Else」、2015年の「Special Effects」と3枚のアルバムを米ビルボードチャートにて最高4位まで叩き込んでいるのくらいだ。しかもチャートインは、どのアルバムもテック・ナイン自身が主催するレーベルのストレンジ・ミュージックからドロップされたもの。大手レーベルとのビッグディールに頼らずともインディペンデンス・レーベルでここまでの結果が出せるのは彼のスキルとセンスの賜物だろう。そう、テック・ナインというラッパーは本当に流行りに媚びず独特のセンスで作品を展開していくのだ。それを踏まえた上で彼の最新作「N9NA」を聴くとどうだろうか?ストレートにカッコ良くないですか?そんな今作は特に”ヒップホップは好きだけど、最近流行りのトラップは全部一緒に聴こえる”と感じる層には必聴のアルバムと断言する。その中でもアルバムタイトル曲の‘‘N9の’’や、重厚なトラックに懐かしさを覚える‘‘F.T.I.2.0’’、哀愁感が強めの‘‘EF U(Easier for You)、上ネタワンループで潔く押し切る‘‘I’m Sorry’’は、私的フェイバリット。またゲスト参加のアーティストでもストレンジ・ミュージック所属の盟友であるクリズ・カリコが最多の5曲でフィーチャーされているのも面白いではないか!いやぁ、本当に流行に寄せないで作りたいものを作っているんですね(笑)こういうアルバムもシーンには必要と感じる一枚。
(DJ YU-1)

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