Release Date / 6 Dec. 2019
UK出身の美メロ系シンガー = スティービー・ホアン。そんな彼の〈R&B界の口コミ王子〉というキャッチコピーからは色々な意味合いで日本人的なワードセンスを感じるのだが、それもあながち間違いでは無いだろう。そう、本稿の主役であるスティービー・ホアンはUKに活動の拠点を置きながらも、これまで発表してきたスタジオアルバムは地元であるUKからよりも日本からのリリース量の方が多いという少し変わったキャリアの持ち主なのだ。そのデビュー直後は渋谷のクラブミュージック・シーンの顔役であるマンハッタンレコードを運営するLexingtonとディールを結ぶと、キャリア中期は言わずと知れた大手のavexと契約。またこの度リリースした今作「Secrets」は、日本語ラップ・シーンを夜明け前から支え続けたPヴァインからドロップしたりと、これまでの彼のキャリアを紐解いてみると何かと日本のレーベルと縁のあるシンガーである事が良く分かる。だが、当然ながらUK/USでもメジャーデビューを果たし、ソングライターとしてもマイアやジェイソン・デルーロに楽曲を提供してきたスティービー・ホアンの実力は本物。今更その歌声の美しさを語る必要は無いだろうが、今作「Secrets」でも彼らしい美メロが存分に楽しめる。中でも”Still in Love”や”Letting Go”、”She’s Nothing Like You”、”Finish Line”といったミニマムかつ哀愁漂うトラックでは、その美声に更なる拍車がかかっているではないか?もちろんR&Bの要素もあるのだが、日本人の耳に馴染みやすいポップスのフレイヴァも存分に感じるくらいだ。日本といえば、我が国のR&Bシーンでは松尾KC潔氏が〈美メロ〉というフレーズを定着させてから十数年経過するが、スティービー・ホアンの「Secrets」は正に〈美メロ〉という表現がピッタリだと断言する。彼の東アジアにルーツを持つビジュアルも含めて日本びいきなのも納得の作品だ。
DJ YU-1
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