Release Date / 30 Sep. 2019
世界中の音楽業界においてマーケティング的な意味合いでヒップホップが覇権を取ってから既に数年が経過するが、‘‘流行りのヒップホップ = トラップ’’という現状に違和感を感じているリスナーがどれくらいいるだろうか?かく言う筆者もその一人で、トラップばかり聴いていると頭がおかしくなりそうな時がある(苦笑)いや、‘‘新しいサウンド = トラップ’’にトライするクリエイターには勿論リスペクトの気持ちは持っているし、世間的にヒップホップが流行って嬉しい気持ちも当然ある。だが現実では「だけどなー。なんか少し違うんだよなー。ヒップホップってもっとローファイなビートでさー・・・」なんて小言も思わず言いたくなる時もあったりして。だけど小言ばかり言っていると若いヘッズ達には[懐古主義のオッサン]とか言われそうで大人しくしていた往年のヘッズが筆者以外にもいるに違いない・・・そう!そんな人向けに産まれた新たなるヒップホップのカテゴリーが‘‘ブーンバップ’’だ。これは、ここ2〜3年でジワジワとシーンに浸透しつつある用語なのだが、要するにトラップに対するカウンター的な意味合いで使われていたりする。要するに「サンプリング万歳!ミドルスクール万歳!」みたいな認識で間違いないだろう(笑)
つまり何が言いたいかというとヒップホップ発祥の地であるアメリカで‘‘ブーンバップ’’なんて言葉が産まれるくらいだから、トラップ以外のヒップホップを2019年でも聴いていたいヘッズが少なからずいるという事。そして、そんなあなたにオススメなのがブルックリンのアングラMC = スカイズーと、言わずもがなヒップホップ・レジェンドであるピート・ロックが共作でドロップした「Retropolitan」だ。もう、ピート・ロックの名前を見れば内容は伝わるだろう?これが‘‘ブーンバップ’’なんだと。懐古主義?いや、逆に新しく無い?太いビートにドープなサンプリングソース達。確かに今作は2019年となった音楽シーンでは‘‘ビルボードで10週連続1位!’’みたいな売れ方はしないだろう。だけど本当に今作のどこを切り取ってみてもリアル・ヒップホップなビートが鳴り響いているので是非聴いてみてもらいたい。なんせ、‘‘SP1200’’なんていうガラクタ同然の低性能のサンプラーを史上最高の名機にまで昇華させたピート・ロックによる新作のトラックですよ?これが俗に言うノーダウトって事。あ、だけどピート・ロックのネットリとしたラップは昔から苦手だったので個人的には彼にはトラックメイカーに専念して欲しかったです(笑)
(DJ YU-1)