Release Date / Apr. 8 2017
『クイーン・オブ・ヒップホップソウル』と呼ばれ、一時代を築いてから20年余りが経過したとは・・・なんとも時の流れは早いものだ。真相は定かでは無いが、今作が彼女のラスト・アルバムになるかもしれないという。そう、グラミー賞では通算9冠を誇るR&Bの女王ことメアリー・J・ブライジが13枚目となるスタジオ・アルバム「Strength Of A Woman」を発表した。今作は如何にもメアリーらしい、所謂ヒップホップソウルのフレイヴァを感じる曲から現行のシーンを見据えたイマドキなサウンドまで網羅した内容で確かにメアリー・J・ブライジという不世出のシンガーの集大成のような濃さだ。アルバムジャケットのアートワークのゴージャスさからも今作からは並々ならぬ自信を感じる。そんな「Strength Of A Woman」からのリードシングルはミディアムテンポで聴かせるタイプの‘‘Thick Of It’’。個人的にメアリーと言えば良くも悪くもトラックありきのシンガーのイメージがあるので、この曲をリードシングルに持って来たのは意外だった。だが、なかなかどうして‘‘Thick Of It’’は米アダルトR&Bエアプレイ・チャートで11週連続1位をキープするなど、好リアクションを得る。こうなると俄然アルバムの期待が高まるが、今作は期待通りの作品になったのではないか?筆者としてはやはりストリングス系の上ネタが印象的で、カニエのラップも冴える‘‘Love Yourself’’や、カナダ出身のホープであるケイトラナダを起用した‘‘Telling The Truth’’、アルバム最後に収録された‘‘Hello Father’’のようなビートの鳴りの強い曲の方が好みだ。だが、‘‘Smile’’のようなバラードでの力強い歌声も聴き応えがあり、シンガーとしての凄みを堪能出来た。思い返せばデビュー当時の彼女は歌唱力には疑問符が付いてまわっていたが、よくぞここまでの歌い手になったものだ。これで最後なんて言わずに、これから何枚でもアルバムをリリースして欲しいくらいだよ。
(DJ YU-1)
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